北朝鮮で「金正恩住宅」大売り出し…資金不足で苦肉の策

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北朝鮮の金正恩党委員長は、国際社会の厳しい制裁を受ける中、国内で2つのメガプロジェクトを進めている。

ひとつは、「元山葛麻(ウォンサン・カルマ)海岸観光地区」の開発だ。今年4月に行った建設現場の視察で金正恩氏は、「工事期間を6カ月間延長して来年の太陽節(金日成主席の誕生日)まで完璧に完成しよう」と延べ、工期延長を認めた。

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一方で、もうひとつのメガプロジェクト、「革命の聖地」である両江道(リャンガンド)の三池淵(サムジヨン)郡の建設工事について金正恩氏は、当初設定した工期の通り来年10月の朝鮮労働党創建75周年までの完成を命じているが、どうも進んでいないようなのだ。制裁による外貨不足で資材を充分に調達できないことが原因となっているもようだ。

それを解決するために、三池淵建設部門指揮部は完成前の住宅を売りに出して資金調達をすることにしたと、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

立ち退き対象の家に住む住民と除隊軍人への住宅工事はすでに完了し、先月末までに供給が終わったが、郡の中心地である三池淵邑(サムジヨンウプ)の線路の周辺で行われている住宅工事は、あまり進んでおらず、基礎と壁が完成した程度だ。

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この状態で4000元(約6万300円)で売りに出し、資金をかき集めた上で建設を続行しようというのが指揮部の考えのようで、道庁所在地の恵山(ヘサン)まで出張して、「これも一種の自力更生」などと言ってマンションの売り込みを行っているとのことだ。最高指導者肝いりの、いわば「金正恩住宅」の大売り出しである。

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通常、北朝鮮でマンションを建設する際には、当局がトンジュ(金主、新興富裕層)に投資を呼びかける。建設資金が不足しているからだ。資金を集めた上で建設を行い、完成した部屋の一部をトンジュに分譲。トンジュはその部屋を売り払って利益を得る仕組みだ。平壌のタワーマンション団地、黎明(リョミョン)通りや未来科学者通りもこのような方式で建設された。

一方、三池淵の建設工事は、住民に勤労動員や食糧などの供出を求める一方で、現場に「自力更生」を求めるばかりで、充分な資金援助を行ってこなかった。現場はついに万策尽きて、トンジュの力を借りざるを得なくなったというのが実情だろう。

地方中小都市の郊外にある住宅は70ドル(約7430円)前後で取引されていることを考えると、三池淵の新築住宅が4000元で買えるのはお得だ。しかし、夏は涼しいものの冬は猛烈な寒さに襲われ、観光収入が見込めず、当局が豪語するように電気や水道の供給がまともになされるかわからない。さらに、この地域の商業の中心地の恵山までの距離が遠いため、主顧客層であるトンジュが手を出すかはわからない。

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また、制裁による不況と供給過剰で不動産価格が暴落、トンジュが投資を手控えしていることに売れ行きに影響を及ぼす可能性がある。

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