「強制学習」で児童が死亡…金正恩氏が主導「孤児政策」の闇

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北朝鮮の金正恩党委員長が掲げる「愛民政策」の一環として、2016年に再建された孤児養育施設で最近、児童が死亡する事件が発生したことが分かった。

無理な強制学習が死亡の直接的な原因とされるが、児童たちの栄養状態もひどいという証言が出ている。施設側が児童に供給されるはずの食料を横流し、現金を得る不正腐敗が横行しているようだ。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は16日、「今月初め、平城(ピョンソン)中等学院で児童ら無理な強制学習をさせられ、学生1人が死亡する事件が起きた」と伝えてきた。

情報筋によれば、「教師らが、基礎学力が不足している児童らに体罰を加えたところ、1人がめまいで倒れ、病院に運ばれたが息を引き取った」という。どのような体罰であったかは詳らかにされていないが、孤児たちの栄養状態が悪すぎたために、耐えることができなかったというのが情報筋の説明だ。

情報筋はさらに、「平城市の教育当局は最近、中等学校の生徒をすべて最優等生にせよとの指示を出した。これを貫徹するという理由で、施設側は児童らにろくに睡眠もとらせず、毎日のように夜間強制学習をさせた」と説明する。担任教師が出す試験に合格した児童は寄宿舎に帰って眠ることができるが、そうでない児童は夜間学習への参加を強制されるという。

北朝鮮の孤児養育施設を巡っては、性的虐待や暴力の横行などが報告されてきたが、強制学習で児童が死亡したという情報は初のケースだ。

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そもそも近年、孤児養育施設の環境は改善されているとの情報も少なくなかった。改善の旗振り役となったのが、金正恩氏だ。

金正恩氏は執権初期、孤児養育施設である育児園(1~4歳)、愛育園(5~6歳)、中等学校(6歳以の初中等教育)を複数回訪問。2015年に元山(ウォンサン)育児園を訪問した際には、「すべての園児たちを国の優れた担い手として育てようというのが私たちの党の確固たる決意だ」表明。同氏はその後、全国の20カ所の孤児教育施設の再建を指示した。

これを受け、2016年に再建された平城中等学院はプール、芝生運動場、浴場、各種実習施設を備えた豪華で近代的な孤児総合学校として知られている。しかし、施設側は再建費用のために負債を抱え込み、借金を返すために行政から提供される食料を横流し、現金を調達しなければならなくなったという。

こうした実情を知るある脱北者は、「孤児のための養育・教育施策を人気取りのためショーケースと化したことで、結局、子どもたちがツケを負わされる羽目になった。見てくれ重視で無理な事業を推進すれば、ボロが出るのは時間の問題だ」と嘆いた。