金正恩氏の目を盗んで進む「北朝鮮風俗」の組織化

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北朝鮮は、輸出の多くが国際社会による制裁でストップし、外貨が得られなくなったことで、深刻な不況に襲われている。

そんな中で、売春を行う女性が増えていると、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。それも組織化が進んでいるようだ。

生活に困っているが、商売を始めようにも元手のない女性たちが、自宅を改造しマッサージ屋を始めた。そこでは、マッサージのみならず売春も行われている。うまく行って儲かるようになると、それを知った他の女性たちも次々にマッサージを始める。それらが、次第に組織化されていくという流れだ。

組織化された女性らは、少なくとも4人が1組となる。仲間の1人は家にいて、残りの3人が駅前、市場、ソビ車(個人経営の輸送手段)のターミナルなどに出て、客引きをする。主に出張や行商などで長旅をしている男性に「おいしい食べ物がある」「いい家があるから泊まっていかないか」と声をかける。

最初は料金として100元(約1490円)を提示するが、後からあれこれ追加して合計で300元(約4450円)ほど支払わせるという。平均的な4人家族の1ヶ月の生活費が50万北朝鮮ウォン(約6500円)と言われているので、客を月に2人取れば、一家族が行きていけるほどの収入になる計算だ。

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よそ者への警戒心が非常に強い北朝鮮で、民家に見知らぬ男が頻繁に出入りするとなると、あっという間に町中に知れ渡る。隣近所や人民班長(町内会長)から疑いの目で見られるようになると、タバコや食べ物を渡して丸め込む。

旅館や個人宅以外でも、個人経営の食堂でも売春が行われている。個室を用意して、女性従業員に接待に当たらせる方式だ。

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金正恩党委員長はかねて、売春の撲滅を強く指示している。しかし上述のとおり、取り締まりは効果を上げていない。

当局は、性売買の急速な広がりに危機感を覚え、「国を前に進める片側の車輪が腐っていくのを見過ごせない」として対策に乗り出した。保安署(警察署)は、保安員(警察官)に宿泊検閲(無断で他人を泊めていないかの検査)を行わせ、人民班長を通じて通報を奨励させている。おそらく「通報すれば報奨金を出す、見逃せば処罰する」というものだろう。

また、者を突き止めて現場に踏み込んだり、工場労働者に夜間糾察隊を組織させ、パトロールに当たらせている。

しかし、取り締まりの効果はあまり上がっていないという。保安員のほとんどが男性で、売春をさほど問題視していないので、積極的に取り締まろうとしないのだと情報筋は伝えた。

保安員の立場からすると、逮捕せずにショバ代を受け取り、ケツ持ちをするほうがよほど儲かるという事情もあるのだろう。都合が悪くなれば、あるいは自分の言うことを聞かなければ逮捕してしまえば済む話だ。

平壌郊外の間里(カルリ)駅周辺では、劣悪な電力事情により頻繁に立ち往生する列車の運行再開を待つ客に、宿と食事を提供する民泊である「待機宿泊」が、売買春の場所となり、一大風俗街へと発展している。

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一時期は、客引きが「アルバム指名」させてバス停から店に連れて行くなど、大規模と思われる組織的売買春が行われていたが、その後音沙汰がないことから、取り締まりで壊滅に追い込まれた可能性がある。

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