「ナチス旗と同じ戦犯旗」北朝鮮が“旭日旗論争”に参戦

北朝鮮の内閣などの総合機関紙・民主朝鮮は23日、東京五輪・パラリンピックでの旭日旗の持ち込み問題をめぐり、「戦犯旗である『旭日旗』を『平和の象徴』に変身させてみようと企んでいる」と日本を非難する署名入りの論評を掲載した。

「レーダー照射」問題でも

日本と韓国が対立している旭日旗の持ち込みをめぐっては、韓国政府が国際オリンピック委員会(IOC)に旭日旗禁止を要請。IOCは明確な態度を示していない。一方、東京五輪・パラリンピック組織委員会は、持ち込みを禁止しない方針を示した。

論評は、「『旭日旗』は第2次世界大戦当時、『卍』が刻まれたナチス旗とともに世界人民の胸に永遠に癒せない傷を残した戦犯旗である」と指摘した。

また、朝鮮労働党機関紙の労働新聞も24日、日本が東京五輪・パラリンピックで「侵略戦争の象徴である『旭日旗』を使用しようと画策している」とする論評を掲載。

こちらの論評は、旭日旗の五輪会場などへの持ち込みを認めるのは「日帝の侵略で不幸と苦痛を強いられたアジア諸国人民に対する我慢できない冒とくであり、平和と友好を志向するオリンピック理念に対する愚弄である」と強調した。

このように、北朝鮮が日韓の「対立案件」に参戦するのは珍しいことではない。昨年、韓国海軍と海上自衛隊の間で起きた「レーダー照射問題」に際しても、北朝鮮は口をはさんでいる。

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むしろ気になるのは、北朝鮮の東京五輪・パラリンピックに対する姿勢だ。

8月、東京都内で20~22日に開かれた東京五輪の参加予定国・地域を対象とした団長会議に、当初出席予定だった北朝鮮の元吉友(ウォン・ギル)体育次官ら3人が、直前になって来日を見送った出来事があった。理由は不明とされる。日本政府は独自制裁で北朝鮮国籍保有者の入国を原則禁止しているが、スポーツ関連の例外扱いとして入国を認める方針だった。

また同月、東京で行われた柔道の世界選手権も、北朝鮮は直前になって出場を取り消している。

韓国と北朝鮮は今年2月、国際オリンピック委員会(IOC)との間で、東京五輪にホッケーの女子、バスケットボールの女子、ボートの6種目、柔道の混合団体――以上の4競技で南北合同チームを出場させることで合意していた。しかしこのうちのホッケー女子については、国際ホッケー連盟(FIH)が期限としてた9日の予選抽選会までに南北からの参加申請がなく、事実上、立ち消えとなった。

ほかの3競技についても、このところの南北対話の断絶のために、調整はまったく進んでいない状況だ。

北朝鮮の真意は見通せないが、旭日旗の問題だけでなく、本大会の前後に何らかの波乱があるかもしれない。