食事抜きで「淫らな行為」強要…北朝鮮女性の人身売買被害
これは米国務省が毎年定期的に行っている人身売買国指定に沿ったものだが、韓国紙・朝鮮日報は次のような見方を示している。
「今回は今月初めにスウェーデンで行われた米朝実務協議の決裂が影響したとの見方も出ている。米国は北朝鮮に対して交渉再開を促す一方、北朝鮮のアキレス腱(けん)とも言える人権問題で圧力を加える『ツートラック』戦略を維持していることが分かる」
そうでなくとも、主として中国を舞台とした北朝鮮女性の人身売買については、米国内でも年々、問題視する傾向が強まっている。
これに対し北朝鮮は、朝鮮労働党機関紙・労働新聞などを通じ、「言いがかりだ」と強く反発している。昨年の指定に対して出された同紙の論評は「米国の今回の挑発行為は、朝鮮の尊厳あるイメージをどうしてでもダウンさせ、制裁・圧迫の雰囲気をより鼓吹してみようとするものだ」と主張した。
しかし、北朝鮮女性の人身売買が横行しているのは、あまりに明白な事実だ。北朝鮮国内での人権侵害については、同国政府が許可しないため国内での調査が難しいが、こちらの問題は現地からの情報も積み上がっている。北朝鮮から中国に逃げ出した脱北女性が、人身売買の犠牲となりセックスワークや「アダルトビデオチャット」を強いられる事例が多数報告されているのだ。
米ニューヨーク・タイムズは13日、中国で脱北した北朝鮮の女性たちが望まないセックスワークを強要され苦しんでいる実態を報じた。彼女たちには一定額のノルマが与えられ、それを達成しない限り、食事も取られず体調が悪くてもPCの前で、淫らな行為を行わなければならないと明かす。顧客の大半は同じ言語を使う韓国人男性だという。
(参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち)朝鮮日報によれば、韓国ある元外交官は、米国の今回の措置について次のように解説したという。
「米国による今回の決定は、オリンピックの南北共催など北朝鮮関連事業にばかり力を入れる韓国政府に対し『軽々しく南北協力をするな』というメッセージを間接的に伝えたものだ」
米国の意図がどういったものであれ、人身売買の被害に遭っている北朝鮮女性を救うために、国際社会は何らかの措置を取るべきだ。米国は中国にもっと圧力をかけることが出来るだろうし、韓国政府がこうしたビデオチャットへの自国内からの接続を遮断することは、ごく簡単なことだろうから。