米国が繰り返し「ウソ」を指摘…文在寅「国家安保室」の暴走

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韓国政府は7日、北朝鮮の20代男性2人を、南北の軍事境界線にある板門店(パンムンジョム)を通じて北朝鮮に追放した。2人は韓国に亡命する意思を示していたにも関わらず、強制送還したのだ。韓国が脱北者を強制送還したのは、これが初めてのケースだ。

統一省はその理由について、2人は乗務していたイカ釣り漁船の船上で同僚16人を殺害したと見られており、「重大な犯罪であり、韓国の国民の生命や安全の脅威となる。凶悪犯罪者として、国際法上の難民としても認められないと判断した」と説明している。

しかし16人殺害の疑いは、客観的な捜査によって立証されたものではない。仮に事実だとしても、強制送還は韓国の憲法や各種の国際法に違反する可能性が高い。ろくに調査も行わず拙速に強制送還を実行した政府の措置には、韓国の国内外から強い批判が出ている。

ホワイトハウスの怒り

韓国紙・東亜日報は11日、「北朝鮮への追放決定は、管轄機関である統一部(省)と国家情報院が独自の意見を出さず、国家安保室が職権で決定した」と伝えた。国家安保室は青瓦台(大統領府)に置かれている行政機関で、国家の安全保障に関わる大統領の職務を補佐する。

東亜日報の報道を受け、統一省は同日、「青瓦台の安保室と関係官庁が緊密に協議し、決定した」と反論するコメントを出した。しかし、国家安保室の単独での決定は否定したものの、同室が主導したことは認めている。

国家安保室はこのところ、様々な場面で悪名が高い。

今月初め、同室の鄭義溶(チョン・ウィヨン)室長は国会運営委員会の国政監査で、「北朝鮮が移動式発射台(TEL)で大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射するのは困難」と主張した。これに対し、韓国国内では一気に非難の声が噴出し、米国科学者連盟非常勤シニアフェローのアンキット・パンダ氏もツイッターで「韓国の国家安保室長が『開いた口がふさがらないほどの大うそ』をついた」と批判した。北朝鮮は2017年だけで3回もTELからICBMを発射しているのだから、当然の反応と言える。

国家安保室長がこのような事実のわい曲を行うのは、南北対話に執着する文在寅大統領の意向に沿い、北朝鮮の脅威を過小評価するためだろう。またこの出来事を考え合わせると、冒頭で言及した脱北者の強制送還も、北朝鮮の顔色をうかがうためだったのではないかと疑わざるを得ない。

国家安保室は韓国政府による日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を巡っても、米国からの非難の的になっている。韓国紙・朝鮮日報によれば、ホワイトハウスの高位関係者は、同室の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)第2次長がGSOMIA破棄について米国の理解を得ていたと取れるような説明をしていたことについて「嘘だ」と強く否定したという。

(参考記事:「韓国外交はひどい」「黙っていられない」米国から批判続く

韓国の安全保障の指令となるべき機関が、逆に国家安保をき損する役割を果たしているわけだ。国家安保室は今後、野党やメディアから集中的な検証を受ける可能性が高い。そこで明らかにされる内幕のあり方によっては、文在寅政権そのものが大きく揺らぐ事態につながるかもしれない。

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