「あと15日しかもたない」金正恩、新型肺炎で体制崩壊の危機
北朝鮮の金正恩党委員長は、中国の習近平国家主席に、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大に対して、慰問の書簡を送った。
時を同じくして北京に現れたのは、朝鮮労働党国際部の金成男(キム・ソンナム)第1副部長だったが、この訪中について、ある「密約」の相談をしに行ったのではないかとの見方が示された。
北朝鮮内部の高位情報筋は、書簡の核心的な内容は国家間の密貿易に関することだったとして、今月15日頃に密貿易が始まるのではないかと述べた。
北朝鮮は先月28日、新型コロナウイルスの国内での感染拡大を恐れ、中国との貿易を全面的に停止する措置を取った。また、外国人観光客の受け入れも先月22日から中止している。
しかし、貿易の9割以上を中国に依存する北朝鮮は、このままだと国が持たない状況となりうる。そうでなくとも北朝鮮当局は、経済制裁の影響に乱れた治安を抑え込むため、一昨年の末から公開処刑を活発化させている。
(参考記事:女性芸能人たちを「失禁」させた金正恩氏の残酷ショー)
もやは体制維持のために、手段を選ぶ余裕はないのだ。
「国家主導で運営される期間や工場、企業所の全般的な状況を見ると、持ちこたえられるのは、今後15日程度しかないとの予想に基づくもの」(情報筋)
北朝鮮では昨年春から、最も優先して配給が受けられる対象だった保衛部(秘密警察)、保安部(警察)への配給が滞りがちになっていると伝えられているが、中朝貿易が完全にストップすれば、配給システムが完全に崩壊し、これら機関の幹部が反発、動揺し、体制を脅かしかねないとの判断があったようだ。
実際、当局は、状況がさらに悪化した場合、非常時に備えて備蓄している軍糧米を放出する計画を立てていると伝えられている。
金正恩氏の書簡の伝達で、北朝鮮の高官たちは、今月15日ごろになれば、中朝貿易ストップによる生じた問題が多少解決するだろうとの期待が持っているとのことだ。また、金成男氏の訪中に先立ち、朝鮮労働党は中国共産党に支援金を送っているが、これは平壌駐在の中国大使館でドル建てで伝達されたという。これもまた、中国に対する密貿易の提案が通りやすくするためだと見る向きがあるという。
内閣の対外経済省の関係者は、中朝貿易の再開に向けて実務的な措置を行っていると伝えられている。また、密輸業者もこれに便乗して密輸が再開できるとの期待から、幹部に対するロビイングを行っていると、情報筋は伝えた。
情報筋は、書簡の内容について「(北)朝鮮の国内環境が劣悪で、ウイルスが拡散すれば対処が難しいとの説明とともに、先制して国境を閉鎖するしかなかったとの内容が書かれている」とし、「中国政府に対する一種の謝罪」だと説明した。
書簡との関係性は不明だが、人民武力省系の貿易会社が、韓国製のマスクを中国を通じて密輸入したと、平安北道(ピョンアンブクト)の内部情報筋が伝えている。
(参考記事:北朝鮮軍がマスクを「産地偽装」して密輸している)