ロシアW杯の裏に「残酷物語」 北朝鮮労働者が受ける虐待
北朝鮮の労働者が、劣悪な労働環境に置かれ、虐待を受けているのはロシアだけでの話ではない。
美貌のウェイトレスは売春も
昨年4月、中国・浙江省にある北朝鮮レストランから、男性支配人と女性従業員12人ら計13人が集団脱北し、韓国入りした事件は大きなニュースとなった。背景には、北朝鮮レストランの多くのウェイトレスが、ハードな通常業務に加えて、本国から要求される厳しい売上ノルマのため、「売春」強要などの虐待を受けるケースもあるとされる。
(参考記事:中国の北朝鮮レストランで「強制売春」説が浮上)海外以上に、北朝鮮国内における労働環境が過酷であることは言うまでもない。例えば4月15日の故金日成主席の生誕記念日にあわせて、ダムや大型建造物を建設する。北朝鮮で最大の祝日と位置づけられているこの記念日に合わせて輝かしい成果を出し、盛大に迎えるというわけだが、無理な工期や劣悪な労働環境で事故が多発している。
1989年4月には、高速道路の建設がムリなペースで進められた。その過程で、建設途中の橋が崩落する事故が発生し、500人が120 メートル下の川原に落下。後に韓国へ逃れた目撃者たちの証言によれば、川原には原形をとどめない死体が散乱し、救助の看護師たちが気を失うほどの地獄絵図と化したという。
(参考記事:北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図)世界最大のスポーツの祭典であるサッカーW杯の裏で、このような人権侵害が行われていることに、国際サッカー連盟(FIFA)も敏感に反応した。ヨシマルだけでなく、英BBCなどのメディアが、ロシアにおける北朝鮮労働者の人権侵害を報道したことにより、FIFAは「人権侵害行為を糾弾し、もしロシアのワールドカップの建設現場で確認されたら、そのような状況は容認しない」と警告した。