「米国と対決とか、どうでもいい」金正恩氏の暴走に北朝鮮国民はウンザリ

北朝鮮の朝鮮中央通信は9月28日、トランプ米大統領の国連演説に「反撃」した金正恩党委員長の声明が発表されてからわずか6日間で、全国で470万人余りが朝鮮人民軍(北朝鮮軍)への入隊、復帰を志願したと報じた。労働新聞が先月12日に報じた時には347万5000人だったので、1ヶ月半で122万5000人も増えた計算となる。

「やってらんねえ」の声

記事によると、志願者らは集会を開き「500万個の核爆弾を炸裂させて悪の帝国、米国を地球から跡形もなく吹き飛ばそう!」「火取り虫のようにあわてふためく米国の狂人らをひとり残らず撲滅しよう!」などの文章を書き込んだ志願書類を提出したという。

まさに開戦前夜のノリだが、北朝鮮の実際の雰囲気に緊張感はさほどないようだ。

両江道(リャンガンド)の内部情報筋によると、声明発表後、緊急講演会、学習会、生活総和(総括)などが慌ただしく行われているが、軍事訓練や避難訓練の類は一切行われていない。

平壌の内部情報筋も、群衆大会に動員されるだけで、それ以外は何の措置も取られていないため、今にでも戦争が起きるという雰囲気は感じられないと現地の状況を伝えた。

情勢が緊張するたびに「敵が攻めてくる」と緊張感を煽り、防空訓練などを行うことで、国内の結束を高めるというのが北朝鮮当局の常套手段だ。ところが、情報筋によると、当局は住民からの「やってられない」との反発を恐れて何もできずにいるというのだ。

(参考記事:「いま米軍が撃てば金正恩たちは全滅するのに」北朝鮮庶民のキツい本音 )

労働者を虐殺

訓練に動員されれば、市場で商売をする時間がなくなり、経済的に困窮する。また、韓国や米国からのラジオを通じて情報を得ている人が多くなり、北朝鮮がどういう状況に置かれているかを曲がりなりにも理解している人が多いため、プロパガンダが通用しづらくなりつつある、などといった事情がある。

ガソリン価格が高騰し、コメ価格が上がれば、金正恩氏の「核の火遊び」に対する批判がさらに高まることを、当局もよくわかっているのだ。そのため、政治講演会、学習会も市場の営業時間が終わった後に行うという。

それでも、せっかくの当局の「配慮」も功を奏さず、住民の不満は高まる一方だ。

(参考記事:「米軍が金正恩を爆撃してくれれば」北朝鮮庶民の毒舌が止まらない

情報筋によれば、生きていくだけで精一杯なのに、動員されて「反米対決がどうのこうの」という話を聞かされるのウンザリしているという人がほとんどだという。

中には「今の政権にいる人(金正恩氏)は、祖父(金日成主席)、父(金正日総書記)よりも核とミサイルに執着している」と体制批判をする人すらいるとのことだ。

本来、権力への不満を公に語ったらどうなるかを、北朝鮮国民は過去の教訓からよく知っている。1990年代の大飢饉に際しては、食糧を求めただけの労働者たちが無残に戦車で轢き殺された。

(参考記事:抗議する労働者を戦車で轢殺…北朝鮮「黄海製鉄所の虐殺」

それにもかかわらず、無謀な核兵器開発に対する庶民の不満は日に日に強まっているもようだ。