金正恩氏につぶされた「ある風俗店」の悲しい話

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RFAの現地消息筋は、「金日成の哀悼の日に売春行為の取り締まりが行われたのは今回が初めてだ」と語っている。おそらく、この建物では従来から、哀悼期間であろうがなかろうが関係なく、売買春が行われていたのだろう。地元の保安署(警察署)幹部ぐらいならば、売春組織の元締めがワイロを払うことで見逃してもらうことも可能だ。

それが今回のような展開となったのは、中央に実態を知られ、金正恩氏やその側近ら上層部の逆鱗に触れた可能性もある。一方、消息筋は、当時の様子をこう説明している。

「保安員は5つのフロアごとに2人1組となって建物を捜索し、男女合わせて15人ほどを逮捕した。呆れるのは、男性らは保安員に500米ドルのワイロを渡して解放されたのに、20~30代の女性たちだけが思想犯罪者として連行されたことだ。『哀悼の日に売買春が行われたのは女性が男性を誘惑したから』というのが保安員たちの屁理屈だが、摘発を見守っていた地元住民からは『女性だけ処罰されるなんておかしい』との声が上がった」

しかし、筆者が言う「悲しい話」というのは、こうした女性たちの身の上のことではない。これはこれで不公正だが、このエピソードにはもうひとつ、特徴的な背景がある。