北朝鮮の弾道ミサイル開発は空軍のエジプト派遣から始まった

その結果、11月21日には北朝鮮の望み通り、同委員会の解体が表決なしで決定された。北朝鮮は、国連外交の最初の年に一定の成果を得たといえる。

ミサイル開発の足がかりに

北朝鮮は第4次中東戦争後も、エジプトやシリアに軍需工場を建設し、両国との友好を大切にした。

そうした支援は、北朝鮮からの一方通行ではなかった。エジプトはパイロット派兵の見返りとして、北朝鮮にソ連製弾道ミサイルである「スカッドB」(ソ連名はR-17E)を引き渡したことが韓国国防部によって確認されている。いわゆるノドンやテポドンなどの北朝鮮の弾道ミサイル開発は、ここから始まったと考えられている。

ただし、北朝鮮は最初から弾道ミサイルの引き渡しを求めて派兵したわけではなかったようだ。シャーズィリーによると、北朝鮮の空軍部隊がエジプトに到着したのは1973年6月であったが、ソ連の弾道ミサイル旅団がR-17Eとともに初めてエジプトに到着したのは同年7月末のことであった。北朝鮮が派兵を決定した時には、エジプトにはまだ弾道ミサイルがなかったのである。