苦節20年、ようやく幕が下りた「ある脱北者の流浪物語」

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そのチャンスはある朝やって来た。作業場に移動する時、普段と違って看守が1人しかいなかったのだ。同じ作業班の30人がてんでバラバラな方角に逃げた。彼は、他の2人の収監者と共に近所の村に住む友人に匿ってもらうことができた。その友人の話によると、残りの27人は捕まってしまった。そして、収容所の方から何発もの銃声が聞こえたそうだ。

2週間後、3人は凍った川を渡り、中国へと向かった。しばらく建設現場で働き資金をためた彼は、2013年に改めてロシアに向かう決心をした。再び過ちを犯すことのないように、ルートをしっかり確認した。黒竜江省の黒河からアムール川を渡りロシアのブラゴヴェシチェンスクにたどり着いた。

女性弁護士の機転

ロシアにたどり着いた彼を待ち構えていたのは国境警備隊員だった。