ポンペオ米国務長官は11日、北朝鮮や中国、イラン、サウジアラビアなど10カ国を11月28日付で、信教の自由が侵害されている「特定懸念国」に指定したとの声明を発表した。北朝鮮が「特定懸念国」に指定されるのは17年連続となる。 米国は折に触れて、北朝鮮における宗教――とりわけキリスト教に対する迫害を非難してきた。 (参考記事:「北朝鮮のキリスト教徒が『冷凍拷問』で殺されている」脱北者が証言) 国務省は1998年に制定された「国際信教の自由法」に基づき、各国の信教の自由を毎年評価し ...

世界最悪の人権侵害国家と呼ばれる北朝鮮の中でも最たる暗部と言えるのが管理所、つまり政治犯収容所だ。収容者は8万人とも12万人とも(韓国の統一研究院の推測)とも言われるが、北朝鮮当局はその存在すら認めていない。 1990年代に起きた大粛清「フルンゼ軍事大学留学組事件」と「第6軍団軍事クーデター未遂事件」、そして「深化組事件」に際しては、一度に千人単位の人々が収容所に送られたという。 (参考記事:同窓会を襲った「血の粛清」…北朝鮮の「フルンゼ軍事大学留学組」事件) 通常、管理所へ ...

米財務省は10日、北朝鮮における深刻な人権侵害や言論統制に関与したとして、金正恩朝鮮労働党委員長の側近である崔龍海(チェ・リョンヘ)党副委員長兼組織指導部長とチョン・ギョンテク国家保衛相、朴光浩(パク・クァンホ)党副委員長兼宣伝扇動部長の3人を制裁対象に指定したと発表した。 党組織指導部長は北朝鮮の政務と人事を一手に掌握し、秘密警察トップである国家保衛相は政治犯収容所の運営などを担当、党宣伝扇動部長は国民の言論や思想を統制する。制裁指定されて当然と言える面々だ。 中でも崔龍海 ...

張成沢粛清を振り返る(2) 2013年12月12日、金正恩朝鮮労働党委員長によって処刑された張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長は、金正恩氏の叔母である金慶喜(キム・ギョンヒ)元党書記の夫、すなわち彼の叔父だった。 金正恩氏の父・金正日総書記には複数の弟妹がいたが、母を同じくするのは夭逝した弟を除けば金慶喜氏だけだった。肉親への情に加え、金王朝内部での権力闘争を勝ち抜くための必要性もあって、金正日氏は金慶喜氏をことのほか大事にしたとされる。 金慶喜氏は政治的にも重要なポジシ ...

北朝鮮の金正恩党委員長の初の訪韓が年内に実現するかどうか話題となるなか、韓国社会では賛否両論が巻き起こっている。一部からは「金正恩を刺殺する」という過激な声まで出ている。 金正恩氏は9月に平壌で行われた南北首脳会談で、訪韓の意思を表明した。しかし、タイムリミットは目前である。 北朝鮮にとっては大イベントのひとつである、金正日総書記の命日(12月17日)が控えている。少なくとも17日が過ぎるまで、金正恩氏は訪韓の意思を明らかにできないだろう。加えて人権問題や様々な国際環境に照ら ...

張成沢粛清を振り返る(1) 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は2013年12月、叔父である張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長を処刑した。その前後に起きた関係者の処刑・粛清も合わせ、一連の「張成沢粛清事件」は、金正恩氏の冷血さを見せつけた出来事だった。それと同時に、その後の核開発強行とその成功で見せた金正恩氏の圧倒的なリーダーシップは、この事件を踏み台にして発揮されたように見えなくもない。 張成沢氏の失脚が公式化されたのは同月8日の党政治局拡大会議でのことであり、死刑は4日後 ...

主要メディアの報道によれば、千葉県警は今年6月、成田空港で他人名義のクレジットカードを使用し化粧品を大量購入したとして、詐欺の疑いで、北朝鮮の工作員とみられる朝鮮籍の男性(65・埼玉県在住)を書類送検していたという。 報道によると、この男性は2012年、北朝鮮の故金正日総書記の専属料理人だった藤本健二氏(仮名)に対し、金正恩党委員長のメッセージを伝えていたことも判明。藤本氏による2012年と16年の計3回の訪朝について、自ら同行するなど関与したことを認めた上で、「本国の指示を ...

北朝鮮の人々は毎年、自然災害に苦しめられている。雨期には水害、夏には干ばつ、冬は大雪。とりわけ今の時期、北部の山間地域では最低気温が氷点下30度近くまで下がる。まさに「凍土」という表現がふさわしい。慢性的なエネルギー不足から暖房のための社会的インフラの整備は進んでおらず、「冬になると飢えよりも寒さの方がよっぽどツラい。凍死する住民も多い」との声もある。 (参考記事:「眠っているうちに」死者数万人、北朝鮮庶民が震える「冬の夜の恐怖」) 韓国のリバティ・コリア・ポスト(LKP)に ...

韓国の月刊朝鮮は11月号で、北朝鮮の「109常務」の文書を単独入手したと報道。「これまで一部のメディアを通じ、北朝鮮の住民たちに(視聴が)禁止された映画や歌などの目録が公開されたことはあったが、体系的に作られた総合文書が出てきたのは今回が初めてだ」と伝えた。 国民的美少女 北朝鮮の「常務(サンム)」とは、ある特別な任務のために関係各機関が共同で編成したタスクフォースのことを言う。109常務は、韓流をはじめとする外国の映像・音楽作品や、金正恩体制に「有害」とみなされた情報の取り ...

北朝鮮有数の鉱山、咸鏡南道(ハムギョンナムド)端川(タンチョン)市の剣徳(コムドク)鉱山で、鉛や亜鉛を中国の密輸業者にしていた労働者らの公開裁判が行われ、実刑判決が下された。 現地の内部情報筋によると、端川市保安所と裁判所は先月12日午前10時から端川市場近くの空き地で今年2回目となる公開裁判を行った。鉱山労働者や市民には3日前から出席するように呼びかけられ、現場は市民で溢れかえったという。 裁判にかけられたのは、薬物中毒者や農場から穀物を盗んだ窃盗犯、そして中国の密輸業者か ...

米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると4日(米時間)、米上院外交委員会東アジア太平洋小委員会で「民主主義と人権、法治に関する中国の挑戦」というテーマの聴聞会が開かれた。聴聞会に出席したローラ・ストーン国務省東アジア太平洋副次官補は、中国における北朝鮮労働者の雇用について「賃金をもらうことができず、いかなる自由もないため、中国は多くの北朝鮮労働者を受け入れている」とし、「米国は北朝鮮の労働者たちをslave labors(奴隷労働者)とみなす」と述べた。 北朝鮮の派 ...

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は5日、「女性の権利が無残に踏みにじられる資本主義社会」と題した論評を配信した。11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」から始まった、世界各地での女性の権利擁護運動などに言及したものだ。 かねてから女性に対する性暴力の蔓延が非難されている北朝鮮が、国際社会に「反撃」したものと言える。 (参考記事:「警察官たちは性犯罪の捜査を楽しんでいる」北朝鮮の救われぬ実態) 論評は、日本で起きた財務事務次官による民放テレビ女性記者に対するセクハラ問題にも言及 ...

英紙・テレグラフ(The Telegraph)が4日、北朝鮮の朝鮮中央テレビのアナウンサーである李春姫(リ・チュニ)氏が引退すると伝えた。李春姫という名前に聞き覚えがなくても、北朝鮮のテレビ報道で独特の抑揚をつけながらニュースを読み上げるアナウンサーといえばおわかりになるだろう。 李春姫氏のアナウンサー歴は約50年と言われている。半世紀近く北朝鮮のニュースを伝えてきたが、特にこの10年間は北朝鮮にとって重要なニュースを読み上げた。とりわけ伝説となっているのが2011年12月1 ...

北朝鮮当局は今月、国境地帯の地域機関に向けて「人身売買を反逆罪として強く処罰せよ」との指示を出した。これに基づき、人身売買団に対する大々的な取り締まりが行われている。しかしその一方、同国社会には人身売買の被害者に対する厳しい視線も存在する。 米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)の両江道(リャンガンド)の情報筋によると、金正淑(キムジョンスク)郡では国家保衛省(保衛部、秘密警察)と人民保安省(警察庁)が合同で人身売買団に対する取り締まりを行った。 その結果、逮捕された4人に ...

北朝鮮の金正恩党委員長の「不都合な出自」が、いよいよ白日の下にさらされるかもしれない。金正恩氏は、9月に平壌で行われた南北首脳会談で訪韓の意思を表明。支持率低下に悩む韓国の文在寅政権は、年内の訪韓実現を目指している。 タイムリミットは目前である。金正恩氏が12月中に訪韓することは、人権問題や様々な国際環境に照らせば極めて困難に思える。何よりも北朝鮮側の熱が冷めてきているようにも見える。 (参考記事:「韓国は正気なのか!?」文在寅政権に北朝鮮から非難) それでも、韓国政府はあき ...

韓国の文在寅大統領の支持率が、またもや就任後最低を更新した。韓国の世論調査会社、リアルメーターが3日に発表した支持率は、前週より3.6ポイント低い48.4%となった。これで9週連続の下落である。 経済の低迷など、内政の行き詰まりが要因とされ、政権はそれを打開すべく、北朝鮮の金正恩党委員長の初訪韓に賭けているように見える。しかしそれは、当局により国民がほぼ完全に統制されている平壌を文在寅氏が訪れるのとは、わけが違う。 韓国には、北朝鮮の体制により家族や友人を殺された人々が数多く ...