脱北者に対する拷問・性的暴行・乳児殺しの実態

  • 国境警備で働いた元国家安全保衛部員が指摘したことだが、国家安全保衛部は違法に中国へ逃亡した人はいかなる理由であれ、反逆者と考えた。そして、彼らを「人間として扱わなかった」しかしながら、「逃亡者」の最悪のタイプは、大韓民国へ行くことを計画していたか、大韓民国の情報当局者と接触した人たちである。大韓民国情報当局のスパイであると認められた人たちは、常に処刑された。キリスト教徒の場合は、国家安全保衛部はその人がどのくらいの期間、キリスト教徒であったのか確かめようとした。彼らは状況に着目した。たとえば、その人が北朝鮮に聖書を持ってこようとしたかどうかなどである。そのような場合、その人たちは典型的に裁判なしで刑務所に送られた。
  • ある元安全担当役人は、上司から「逃亡者」を3グループに分類するよう命令をうけた、と語った。第一のグループは北朝鮮に戻るつもりで、食糧のためにのみ、国境を越えた人たちである。彼らは、3から6ヶ月労働所へ送られた。第二のグループは大韓民国に行き着こうという意図をもって、北朝鮮を出た人たちである。彼らは普通の刑務所(「教化所」)に送られた。第三のグループは、キリスト教のグループか大韓民国の情報ネットワークに与えられた手段を使って、大韓民国に行こうという意図をもって、北朝鮮を出た人たちである。彼らは政治犯刑務所(「管理所」)に送られることになった。「逃亡者」の公開処刑は政治的に都合の良い場合は実行された。
  • 別の元国家安全保衛部員が指摘するには、中国から強制送還された人たちと、自分の意志で北朝鮮に帰ってきた人とは全く違う扱いであった。彼らは教会と接触したか、あるいは、大韓民国国民と接触したか、について尋問されることになった。
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そして、もしそうなら、彼らは国家安全保衛部の地方本部に送られ、そこから管理所(政治犯刑務所)に送られた。そのほかの人たちは、人民保安省の施設に送られ、そこから、普通の刑務所(教化所)に送られた。

(ⅰ)尋問の最中の拷問と非人間的扱い

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調査委員会は、国家安全保衛部と人民保安省によって行われた尋問の最中、尋問者が、その犠牲者は真実を述べ、愚行のすべてを告白したと確信するまで、ひどい殴打や他の形の拷問が組織的に行われた。まれに例外はあったが、調査委員会によって質問をされた100人以上の中国からの送還者のすべての人が、尋問の間、殴られたり、よりひどい拷問を受けたりした。国家安全保衛部や人民保安省の尋問拘留所を特徴づける非人間的拘留は拘留されているものが、確実に生き延びるため、早く告白するよう圧力を強めているのだ。

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