北朝鮮の独裁体制においては、核・ミサイル実験に対する国際社会の経済制裁がいかに容赦なくとも、金正恩氏ら支配層が最終的に損失を負うことはない。そういった損失はすべて大衆に押し付けられるからだ。 エンジンの火炎に焼かれ それは、核・ミサイル開発の現場にいる軍人たちも同じだ。北朝鮮が最近、実施したミサイル発射実験においては、事故が多発していた様子が観測されている。 北朝鮮が先月29日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」型を発射した際、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士と思しき人物 ...

北朝鮮「女人天下」の知られざる深奥(3) 北朝鮮の朝鮮労働党は、10月7日に開いた党中央委員会第7期第2回総会で、金正恩党委員長の妹である金与正(キム・ヨジョン)氏を党中央委員会政治局委員候補に選出した。金与正氏は、正恩氏の現地視察に同行する姿が北朝鮮の公式メディアにより写真や動画で伝えられており、今後、兄の国家運営の補佐役となっていくことが予想されていた。政治局委員候補への選出は、その見方を裏付けるものと言える。 父である故金正日総書記を、妹の金慶喜(キム・ギョンヒ)元党書 ...

  上の写真は、金雪松氏が映っている同じ映像の、逆側から撮られた場面。 「党組織指導部第1副部長の金京玉(キム・ギョンオク)はこのとき、北朝鮮の官僚機構の頂点にいた人物で、映像でも弔問を取り仕切っていた様子がわかります。また、当時は駐スイス大使だった李スヨンはその後、外相を経て党副委員長にまで上り詰めました。つまり、ここに揃った面々は文字通り、北朝鮮の最高幹部たちであるということです」(北朝鮮戦略情報センター(NKSIS)の李潤傑代表)

日本ではさほど注目されないが、国際社会は核・ミサイル開発と並び、北朝鮮における著しい人権侵害を批判し、変化を促すために様々な施策を行っている。その成果によるものか、北朝鮮国民の間に人権意識が芽生えつつあり、当局の横暴に対抗する重要な武器となっている。 北朝鮮国内の内部情報筋から寄せられた、ある事件に関する情報からは、そのような意識の変化が読み取れる。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)会寧(フェリョン)に住むチェさんは、デイリーNKに2011年5月に平壌で起きた事件の顛末を伝えた。 ...

北朝鮮の金正恩党委員長の異母姉・金雪松(キム・ソルソン)氏の情報が韓国や日本で出回り始めたのは、2006年頃のことだった。 韓国紙の朝鮮日報は同年2月25日、元朝鮮労働党幹部の脱北者の話として、「(金雪松氏は)目鼻立ちのはっきりした美人」「身長165センチで、北朝鮮の一般女性と異なり、腰まで届くような長髪」などと伝えた。 さらに、父である金正日総書記の現地視察にしばしば動向しており、その際は朝鮮人民軍の軍服を着て中佐の階級章を付けているとも書いている。 続いて翌月には時事通信 ...

北朝鮮「女人天下」の知られざる深奥(1) 北朝鮮の金正日総書記が2011年12月17日に死亡してから、もうすぐ丸6年となる。その後継として誕生した金正恩体制はこの間、対外的には核兵器開発を巡り米国との対立を激化させ、国内では恐怖政治の刃を無慈悲に振るいながらも、統治の盤石化に成功しているように見える。 金正恩党委員長は1984年1月生まれとされているから、国家の最高指導者になったときには30歳にもなっていなかったわけだ。それほどの若さで父親からの権力継承に成功できたのは、正恩 ...

北朝鮮が先月29日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」型を発射した際、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士と思しき人物が、エンジンから噴出された火炎に包まれて死亡したとの情報が出ている。しかも北朝鮮が公開した映像に、その場面が映っていたという。 米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が北朝鮮国内の複数の情報筋の話として伝えたところでは、北朝鮮の軍内部ではもちろん、テレビでこれを見た人々の間で衝撃が広がっているという。 発射の瞬間。火炎の左手前に見える人影 その後、映像は編 ...

【動画】「火星15」型の発射映像 両江道(リャンガンド)の情報筋がRFAに語ったところでは、「11月30日にテレビで初めて発射場面の映像が流れた際、火星15が発射された瞬間、発射台近くにいた兵士が炎に包まれる場面が収められていた。それを見て、道人民委員会(道庁)の会議室で火星15の発射シーンを集団視聴していた幹部たちが驚愕していた」という。【動画】「火星15」型の発射映像 (関連記事:【目撃談】北朝鮮ミサイル工場「1000人死亡」爆発事故の阿鼻叫喚)

金正恩氏は軍需工業大会で、「国家核戦力完成の大業を成し遂げたのは、高価な代償を払いながら決死の闘いで獲得したわが党と人民の偉大な歴史的勝利だ」と宣言した。 ここで言う「高価な代償」とは、核・ミサイル実験に対する国際社会の経済制裁によって生じた、経済的・政治的損失のことを指していると思われる。ただ、北朝鮮の独裁体制において、金正恩氏ら支配層が最終的に損失を負うことはない。そういった損失はすべて大衆に押し付けられるからだ。 テレビで見て衝撃 それは、核・ミサイル開発の現場にいる軍 ...

米トランプ政権が北朝鮮との有事に備え、韓国に駐留する米軍人家族の帰国をすでに決めている――デイリーNKジャパン編集部は4日までに、東京と韓国・ソウルの情報筋からこのような情報を入手した。 この問題を巡っては、米共和党のリンゼー・グラハム上院議員が3日のCBSニュースのインタビューで、米国と北朝鮮の軍事衝突が近づいているとの認識を示し、「在韓米軍の家族を韓国国外へ退避させ始める時が来た」と述べていた。今後、米国政府が取るべき方針として主張した形だが、実際にはすでに帰国は決まって ...

3つのショック米CNN放送は5日、韓国への亡命過程で受けた銃撃で重傷を負った元北朝鮮軍兵士、オ・チョンソン氏の手術場面の動画を公開した。動画は、韓国京畿道水原市にある亜州病院の記録カメラに収録されたもの。米軍の米軍航空医務後送部隊「ダストオフ(DUSTOFF)」のヘリが病院の敷地に着陸し、オ氏が手術室に搬送される場面から始まる(画像)。続いて10人の医療陣が手術台を取り囲み、オ氏を懸命に蘇生(画像)。オ氏の体内の銃弾が映ったエックス線写真(画像)や、体内から寄生虫が取り出され ...

米CNN放送は5日、韓国への亡命過程で受けた銃撃で重傷を負った元北朝鮮軍兵士、オ・チョンソン氏の手術場面の動画を公開した。 動画は、韓国京畿道水原市にある亜州病院の記録カメラに収録されたもの。米軍の米軍航空医務後送部隊「ダストオフ(DUSTOFF)」のヘリが病院の敷地に着陸し、オ氏が手術室に搬送される場面から始まる(画像)。 続いて10人の医療陣が手術台を取り囲み、オ氏を懸命に蘇生(画像)。オ氏の体内の銃弾が映ったエックス線写真(画像)や、体内から寄生虫が取り出される様子も収 ...

北朝鮮当局が、飲酒歌舞、すなわち酒を飲んで歌って踊るような集まりを禁止していると韓国の情報機関・国家情報院(国情院)が11月20日、韓国国会に報告した。それによると、国連安全保障理事会による制裁が国内社会に不穏な空気を醸成する可能性があるとして、北朝鮮当局は朝鮮労働党の組織網を通じて国民の生活を監視する体系を強化し、情報流通の統制を強化しているという。 幹部を飲酒で処刑 平壌在住の内部情報筋によると、人民保安省(警察庁)が11月初め、平壌市内の国営レストランから郊外の協同農場 ...

毎年12月1日は「世界エイズデー」だ。これに合わせて東京では23日から26日まで、第31回日本エイズ学会学術集会・総会(外部リンク)や関連イベント「TOKYO AIDS WEEK」(外部サイト)が開催された。依然として存在するHIV陽性者への偏見、差別を解消し、感染拡大の抑止を図るのがこの行事の目的だ。 一方、世界エイズデーに際した行事は北朝鮮でも行われている。 北朝鮮国営の朝鮮中央通信は、昨年12月1日に平壌の人民文化宮殿で世界エイズデーの関連行事が開催され、保健部門の関係 ...

今月4日、脱北者10人が中国公安当局に逮捕され、北朝鮮への強制送還の危機にひんしていることはデイリーNKジャパンでも既報の通りだが、救援運動もむなしく、北朝鮮に強制送還されたと、英国BBC(韓国語版)が報じた。 脱北者を強制送還する中国政府の姿勢に対しては、北朝鮮の人権侵害を助長するものだとして、国際的な非難の声が高まりつつある。 (参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち) この事件は、韓国を目指して脱北し、中国の瀋陽に滞在していた脱北者10人が、 ...

米紙ワシントン・ポストが今月17日付に、脱北者のインタビュー特集を掲載している。 東京支局のアンナ・ファイフィールド支局長が6カ月をかけ、韓国とタイで取材を重ねたもので、幼稚園児から学生、労働者、母親、医師、薬物密売人など、様々な年齢と職業の男女25人から聞き取りを行った意欲的な企画だ。 誕生パーティーで… その中に、実にショッキングな証言が出てきた。2014年に脱北した薬物密売人が、次のように語っている。 「私の主な仕事は、オルム(氷=覚せい剤を表す符丁)を売ることだった。 ...