北朝鮮の独裁者3代の中でも、金正恩党委員長のキャラクターは非常に独特に見える。 祖父の金日成主席と父・金正日総書記は、独特な国作りをしながらも、東西冷戦の中にあって国際関係においてはバランスを重視した。正日氏は冷戦後、米国を相手に回しての「瀬戸際戦術」に打って出るが、それでも常に対話のチャネルを残していたという点で、バランス志向を保っていた。 身分を秘匿 それに対して正恩氏は「押しの一手」で、しかも現実的な要求を示さない。かと思えば、秘密主義の強かった父と異なり、国内メディア ...

北朝鮮が、米国領のグアム島周辺に向けて弾道ミサイルを発射する計画を検討していると明らかにしたことをきっかけに、米朝双方が過激な舌戦を繰り広げている。こうした中、北朝鮮の軍需工場が意外な外貨稼ぎに参入しているという。 軍紀の乱れ「性上納」 北朝鮮官営メディアはミサイル発射計画を報道するだけでなく、12日には全国で大学生や女性を含む347万5千人が北朝鮮軍への入隊を嘆願したと報道した。北朝鮮は緊張状態に入る度に、臨戦態勢を過剰演出する傾向にあり、万が一報道が事実だったとしても、北 ...

北朝鮮の金正恩党委員長にとって8月は、またもや「怨念」の月になるかもしれない。北朝鮮は中距離弾道ミサイル4発を米領グアムに向けて発射する計画を8月中旬までに策定すると表明していた。 しかし、金正恩氏が「(米国の)行動をもう少し見守る」と述べたのだ。 トイレを使えない 金正恩氏は14日、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)戦略軍司令部を視察。朝鮮中央通信は、同氏の発言について次のように伝えている。 「米帝の軍事的対決妄動は我が手で首にわなをかけるようになってしまったと述べ、悲惨な運命の分秒を ...

トランプ米大統領の北朝鮮に対する強硬発言と、北朝鮮によるグアム島周辺へ向けたミサイル発射予告により、朝鮮半島情勢は韓国証券取引所の総合株価指数(KOSPI)が1週間(4~11日)続落するほどの緊張感の中にある。 軍内での「性上納」 しかしそろそろ、米朝双方の「舌戦」が演出過剰ぎみになってきたのも事実だ。 北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は12日付で、新たな国連制裁決議発表後の3日間で、全国で大学生や女性を含む347万5千人が朝鮮人民軍(北朝鮮軍)への入隊を嘆願したと報道。「 ...

朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士たちが裏ビジネスで小金を稼いでいるという。北朝鮮では金正日総書記の時代から、すべてにおいて軍事を優先するという「先軍政治」をスローガンに掲げてきたが、金正恩時代に入って、北朝鮮軍が弱体化していることが背景にある。 「ミンチ」にして処刑 北朝鮮軍の総兵力は120万人とされており、韓国軍(66万人)と在韓米軍(2万5千人)の合計よりも圧倒的に多い。人口2,500万人と言われる北朝鮮で、120万人の兵力を養うのは国家的にも相当な負担だ。 そのせいか金正恩 ...

朝鮮労働党機関紙・労働新聞は昨年7月11日、「深い夜、朝早くから訪ねて来られ」と題した記事を掲載した。正恩氏が2013年9月、当時建設が進められていたレジャー施設「紋繍(ムンス)ウォーターパーク」の工事現場を早朝や深夜に前触れもなく訪れ、仰天する担当者たちとともに、細部まで見て回ったとする内容である。 「ミンチ」にして処刑 この記事に書かれていたわけではないが、筆者は、金正恩氏が自ら愛車をドライブし、工事現場に向かったものと考える。実際、正恩氏が愛車のベンツを自分で運転してい ...

中朝国境地帯の中国側では、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士による窃盗、強盗が相次いでいる。兵士たちはろくに食料の供給を受けられず、空腹に耐えかねて国境を越えてくるのだ。中国当局は警備を強化しているが、犯罪の発生を防ぎきれずにいるようだ。 不良兵士がマフィア化か そんな現状を受けて、地域住民は自警団を結成して対応している。 国境を流れる鴨緑江を挟み、北朝鮮の両江道(リャンガンド)と向かい合う吉林省の長白朝鮮族自治県。現地の住民によると、県の中心から北東に10〜15キロのところにある ...

北朝鮮の国家保衛省(秘密警察)が、脱北者を強制的に連れ戻すために、中朝国境都市のホテルに陣取って作戦を遂行している状況がデイリーNKの取材により明らかになった。 北朝鮮の金正恩党委員長は昨年、「反共和国(北朝鮮)謀略勢力を、手段と方法を問わずに捕らえよ」との指示を出した。これを受けて、国家保衛省(秘密警察)、偵察総局、人民保安省(警察庁)などは、脱北者家族の懐柔から強硬手段までを動員し、脱北者の連れ戻しに躍起になっている。 (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「アダルトビデオチャ ...

北朝鮮外務省の報道官は13日、米国務省が人身売買に関する報告書を発表したことについて、「生意気な『人権裁判官』」のように振舞っていると述べて非難した。 米国務省は先月27日、世界各国の人身売買に関する2017年版の年次報告書を発表。報告書で北朝鮮は、中国、イラン、ロシア、シリアなどとともに4段階の最低ランクに位置づけられた。 報道官はこれを受け、「米国が毎年、『人身売買報告書』なるものをでっち上げて他国に訓戒しているのは、無分別な妄動だと言わざるを得ない」と非難している。 こ ...

米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)は先月、亡命した北朝鮮の朝鮮労働党元党幹部、李正浩(リ・ジョンホ)氏(59)のインタビューを公開した。 李氏は2014年10月に韓国に亡命し、2016年3月に米国に渡った。現在は妻と2人の子供とともにワシントンDCに住んでいる。 人間を「ミンチ」に 李氏は脱北する2014年まで、党39号室の高位幹部として、金正恩党委員長の秘密資金を造成するための外貨稼ぎに取り組んでいた。同氏の暴露した39号室の活動内容は非常に興味深いものだったが、筆 ...

北朝鮮の金正恩党委員長が、米国を激しく挑発している。過激な言動で知られる米国のトランプ大統領に対して、金正恩氏は核やミサイルなどの武力による威嚇のみならず、言葉による挑発、いわば「口撃」をもしかけている。 ミサイルは「プレゼント」 北朝鮮は4日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」型を発射し、成功だったと大々的に発表した。本日(5日)付の労働新聞によると、金正恩氏はミサイル発射の現場に立ち会い、自ら発射命令を下したという。ICBMの発射に立ち会った金正恩氏は「われわれの ...

北朝鮮の金正恩党委員長は4日、大陸間弾道ロケット(ミサイル)「火星14」型の試射を現地指導した。朝鮮中央通信が5日、伝えた。 米国への「贈物包み」 同通信によると、金正恩氏はミサイルの組立作業現場を訪ね続けて、発射準備過程を細心に指導したという。 金正恩氏は「火星14」型を眺めながら、「米帝との長きにわたる対決がとうとう最後の界線に入った、われわれの警告を無視してわれわれの意志を試している米国にはっきりと見せてやる時が来た」と強調したという。 同通信は、今回の試射について「新 ...

北朝鮮は4日、15時30分からの特別重大報道を通して、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射に成功したと伝えた。北朝鮮の主張通りICBMの開発に成功したのなら、米国にとって北朝鮮の脅威はますます高まることになる。 吹き飛んだ韓国軍兵士 北朝鮮の朝鮮中央テレビは、特別重大報道で北西部の発射場からICBMの「火星14」型を発射し、成功したと発表した。ミサイルは高度2802キロに達し、933キロを飛行。日本海上の目標に到達し「成功」と見なされたという。北朝鮮メディアによると、金正恩党 ...

北朝鮮の金正恩党委員長は、よほど韓国の朴槿恵前大統領を憎んでいるようだ。既に大統領職を罷免され政治の世界から追放された朴槿恵氏に対して「処刑」を宣告した。 吹き飛ぶ韓国軍兵士 きっかけは、26日付の朝日新聞の報道だった。同紙は、朴槿恵政権が金正恩氏を指導者の地位から追い落とす工作を企画していたと報じた。朝日新聞の報道は、デイリーNKジャパンや本欄で伝えてきた内容と重なる。 (関連記事:金正恩氏「屈辱の夏」から始まった東アジアの危機) 一方、北朝鮮もこの報道に即座に反応した。同 ...

前回に続き、朝日新聞の「韓国が金正恩暗殺計画」報道について分析してみたい。 朝日新聞は26日、韓国の対北朝鮮政策に詳しい関係筋の話として、「朴槿恵(パククネ)前政権が2015年末以降、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長を指導者の地位から追い落とす工作を行おうとした」と報じた。「正恩氏の暗殺も選択肢とした政策だった」という。 手を血で汚した正恩氏 韓国の国家情報院はこれについて、「事実無根」全面否定している。しかし筆者としては、朝日の報道はなかなか興味深いものだ ...

治安維持を名目に強権を振りかざし、庶民に横暴の限りを尽くしている北朝鮮の秘密警察が4人の女性をスパイ容疑で逮捕したという。しかし、現地情報筋によると、女性たちはワナにはめられたようだ。 女子大生を拷問 情報筋によると、咸鏡北道(ハムギョンブクト)会寧(フェリョン)市の保衛局反探処(スパイ担当部署)は、今月5日から10日にかけて、30〜40代の女性4人を次々に逮捕した。容疑は中国キャリアの携帯電話を使って韓国と連絡を取り、スパイ活動を行っていたというものだ。 金正恩党委員長が昨 ...