かつては北朝鮮全国のどこにでもあった配給所。食料品から生活必需品に至るまで、選択肢は多くなかったものの様々な物資を配給していた。しかし、1990年代に配給システムが崩壊して以降は、有名無実の存在となっていた。北朝鮮当局はこのような配給所の廃止を始めた。 両江道(リャンガンド)の内部情報筋によると、恵山(ヘサン)市人民委員会(市役所)は今年9月、市内の配給所を廃止するとの通達を出した。今後、特別な休日に配給する物資があれば、洞事務所(末端の行政機関)で受け取る体制に転換すること ...

【人気記事】 コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち 北朝鮮は10月10日、朝鮮労働党創立72周年を迎えた。周辺国は記念日に合わせた軍事的挑発を警戒した。だが、昨年の建国記念日(9月9日)に行われた第5次核実験を除けば、核実験や弾道ミサイルの発射実験が、記念日の当日に行われたことはない。最も警戒されるのはその前後である。 懸念された挑発はなかったが、7日に開催された朝鮮労働党中央委員会第7期第2回総会で注目すべき人事が行われた。本欄でも伝えたが、金 ...

中国商務省は8月、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議を受け、北朝鮮産の鉱物および海産物の輸入を全面禁止する措置を取った。こうした動きを受けて、北朝鮮の市井の人々の生活はいよいよ困窮に直面しているようだ。 「不満」を弾圧 中朝国境にほど近い北朝鮮の羅先(ラソン)経済特区を頻繁に訪れる中国人ビジネスマンは、デイリーNKに現地の状況を次のように語った。 「一時は中国への海産物輸出で大儲けしていた羅先経済特区は、最近の対北朝鮮制裁のせいで物寂しい雰囲気が漂っている。特区内では多くの ...

北朝鮮の金正恩党委員長は21日、朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長名義の声明を発表した。北朝鮮史上初となる最高指導者名義の声明だ。 それゆえに、本来なら極めて重みのある声明となるはずだが、その中身はほぼトランプ米大統領に対する個人攻撃に終始した。トランプ氏への金正恩氏の恨みつらみはピークに達しているようだ。 トイレにもストレス 金正恩氏の怨念といえば、韓国の朴槿恵元大統領に対する執拗な攻撃が思い起こされる。 とりわけ、2015年8月に朝鮮半島の南北が対峙する軍事境界線で北 ...

核・ミサイルで暴走を加速させる金正恩党委員長に対して、トランプ米大統領が「ロケットマン」と揶揄した。単なるSNS上の軽口に過ぎないが、北朝鮮がどのような反応をするかに注目される。 人種差別表現で トランプ氏は北朝鮮の核実験とミサイル発射を受けて、韓国の文在寅大統領と電話会談を行った。翌日のツイッターで電話会談に触れ、「ロケットマンはどうしているか尋ねた」とつぶやいた。 気の利いた軽口で金正恩氏をこけにしたつもりかもしれないが、北朝鮮庶民が金正恩氏に浴びせかけるブラックなジョー ...

北朝鮮の独裁者3代の中でも、金正恩党委員長のキャラクターは非常に独特に見える。 祖父の金日成主席と父・金正日総書記は、独特な国作りをしながらも、東西冷戦の中にあって国際関係においてはバランスを重視した。正日氏は冷戦後、米国を相手に回しての「瀬戸際戦術」に打って出るが、それでも常に対話のチャネルを残していたという点で、バランス志向を保っていた。 身分を秘匿 それに対して正恩氏は「押しの一手」で、しかも現実的な要求を示さない。かと思えば、秘密主義の強かった父と異なり、国内メディア ...

北朝鮮が、米国領のグアム島周辺に向けて弾道ミサイルを発射する計画を検討していると明らかにしたことをきっかけに、米朝双方が過激な舌戦を繰り広げている。こうした中、北朝鮮の軍需工場が意外な外貨稼ぎに参入しているという。 軍紀の乱れ「性上納」 北朝鮮官営メディアはミサイル発射計画を報道するだけでなく、12日には全国で大学生や女性を含む347万5千人が北朝鮮軍への入隊を嘆願したと報道した。北朝鮮は緊張状態に入る度に、臨戦態勢を過剰演出する傾向にあり、万が一報道が事実だったとしても、北 ...

北朝鮮の金正恩党委員長にとって8月は、またもや「怨念」の月になるかもしれない。北朝鮮は中距離弾道ミサイル4発を米領グアムに向けて発射する計画を8月中旬までに策定すると表明していた。 しかし、金正恩氏が「(米国の)行動をもう少し見守る」と述べたのだ。 トイレを使えない 金正恩氏は14日、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)戦略軍司令部を視察。朝鮮中央通信は、同氏の発言について次のように伝えている。 「米帝の軍事的対決妄動は我が手で首にわなをかけるようになってしまったと述べ、悲惨な運命の分秒を ...

トランプ米大統領の北朝鮮に対する強硬発言と、北朝鮮によるグアム島周辺へ向けたミサイル発射予告により、朝鮮半島情勢は韓国証券取引所の総合株価指数(KOSPI)が1週間(4~11日)続落するほどの緊張感の中にある。 軍内での「性上納」 しかしそろそろ、米朝双方の「舌戦」が演出過剰ぎみになってきたのも事実だ。 北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は12日付で、新たな国連制裁決議発表後の3日間で、全国で大学生や女性を含む347万5千人が朝鮮人民軍(北朝鮮軍)への入隊を嘆願したと報道。「 ...

朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士たちが裏ビジネスで小金を稼いでいるという。北朝鮮では金正日総書記の時代から、すべてにおいて軍事を優先するという「先軍政治」をスローガンに掲げてきたが、金正恩時代に入って、北朝鮮軍が弱体化していることが背景にある。 「ミンチ」にして処刑 北朝鮮軍の総兵力は120万人とされており、韓国軍(66万人)と在韓米軍(2万5千人)の合計よりも圧倒的に多い。人口2,500万人と言われる北朝鮮で、120万人の兵力を養うのは国家的にも相当な負担だ。 そのせいか金正恩 ...

朝鮮労働党機関紙・労働新聞は昨年7月11日、「深い夜、朝早くから訪ねて来られ」と題した記事を掲載した。正恩氏が2013年9月、当時建設が進められていたレジャー施設「紋繍(ムンス)ウォーターパーク」の工事現場を早朝や深夜に前触れもなく訪れ、仰天する担当者たちとともに、細部まで見て回ったとする内容である。 この記事に書かれていたわけではないが、筆者は、金正恩氏が自ら愛車をドライブし、工事現場に向かったものと考える。実際、正恩氏が愛車のベンツを自分で運転しているとの話は、「金正日の ...

中朝国境地帯の中国側では、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士による窃盗、強盗が相次いでいる。兵士たちはろくに食料の供給を受けられず、空腹に耐えかねて国境を越えてくるのだ。中国当局は警備を強化しているが、犯罪の発生を防ぎきれずにいるようだ。 不良兵士がマフィア化か そんな現状を受けて、地域住民は自警団を結成して対応している。 国境を流れる鴨緑江を挟み、北朝鮮の両江道(リャンガンド)と向かい合う吉林省の長白朝鮮族自治県。現地の住民によると、県の中心から北東に10〜15キロのところにある ...

北朝鮮の国家保衛省(秘密警察)が、脱北者を強制的に連れ戻すために、中朝国境都市のホテルに陣取って作戦を遂行している状況がデイリーNKの取材により明らかになった。 北朝鮮の金正恩党委員長は昨年、「反共和国(北朝鮮)謀略勢力を、手段と方法を問わずに捕らえよ」との指示を出した。これを受けて、国家保衛省(秘密警察)、偵察総局、人民保安省(警察庁)などは、脱北者家族の懐柔から強硬手段までを動員し、脱北者の連れ戻しに躍起になっている。 (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「アダルトビデオチャ ...

北朝鮮外務省の報道官は13日、米国務省が人身売買に関する報告書を発表したことについて、「生意気な『人権裁判官』」のように振舞っていると述べて非難した。 米国務省は先月27日、世界各国の人身売買に関する2017年版の年次報告書を発表。報告書で北朝鮮は、中国、イラン、ロシア、シリアなどとともに4段階の最低ランクに位置づけられた。 報道官はこれを受け、「米国が毎年、『人身売買報告書』なるものをでっち上げて他国に訓戒しているのは、無分別な妄動だと言わざるを得ない」と非難している。 こ ...

米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)は先月、亡命した北朝鮮の朝鮮労働党元党幹部、李正浩(リ・ジョンホ)氏(59)のインタビューを公開した。 李氏は2014年10月に韓国に亡命し、2016年3月に米国に渡った。現在は妻と2人の子供とともにワシントンDCに住んでいる。 人間を「ミンチ」に 李氏は脱北する2014年まで、党39号室の高位幹部として、金正恩党委員長の秘密資金を造成するための外貨稼ぎに取り組んでいた。同氏の暴露した39号室の活動内容は非常に興味深いものだったが、筆 ...

北朝鮮の金正恩党委員長が、米国を激しく挑発している。過激な言動で知られる米国のトランプ大統領に対して、金正恩氏は核やミサイルなどの武力による威嚇のみならず、言葉による挑発、いわば「口撃」をもしかけている。 ミサイルは「プレゼント」 北朝鮮は4日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」型を発射し、成功だったと大々的に発表した。本日(5日)付の労働新聞によると、金正恩氏はミサイル発射の現場に立ち会い、自ら発射命令を下したという。ICBMの発射に立ち会った金正恩氏は「われわれの ...