氷点下20度の野外でタダ働き、若者の命を奪う「ブラックな現場」
北朝鮮で進められている超大型国策事業、三池淵(サムジヨン)開発。建設労働者として投入されているのは、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の建設部隊や、突撃隊と呼ばれる、各地の工場、企業所、機関などから駆り出された人々からなるタダ働き素人集団だ。 北朝鮮の建設プロジェクトの労働環境は劣悪で、様々な工事現場で死者が続出している。 (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図) 金正恩党委員長は工事の進み具合がよほど気になるのか、今年に入って3回も現場の視察を行った上で ...
金正恩の「肥満」と「処刑」が同時期に始まった必然
張成沢粛清を振り返る(8) 韓国の国家情報院(国情院)は2016年7月1日、国会情報委員会の懸案報告で金正恩氏の体重について、「2012年には90キロだったが、2014年には120キロに、そして最近では130キロまで増えたと推定される」と明らかにした。その後、こうした情報は出ていないが、写真や映像で見た限りではさらに太ったような気もする。 一体、どうしてこんなに太ってしまったのか。 贅沢な暮らしのためか、あるいは威厳を出すためにあえて肥満体型に「改善」した可能性も考えられるが ...
【写真】長引く制裁で活気の戻らない北朝鮮経済特区
北朝鮮の北東部、中国との国境に面した羅先(ラソン)経済特区は、首都・平壌に次ぐ豊かな地域として知られているが、長引く国際社会の制裁の影響ですっかり活気を失っている。現地の内部情報筋から、そんな様子を収めた写真が提供された。 売春や一家離散も 羅先には、数多くの中国業者が進出し、水産加工工場やアパレル工場を営んでいた。ところが、国連安全保障理事会で採択された対北朝鮮制裁で、輸出ができなくなったため稼働を止めている。業者は中国に帰国せず、投資金の回収のために東奔西走しているが、そ ...
金正恩氏の「怒声」が何より怖い…北朝鮮国民の2018年
北朝鮮の金正恩党委員長が2018に行った公開活動のうち、大半が外交と経済分野に集中し、軍事関連が大幅に減ったと聯合ニュースが報じている。聯合が北朝鮮メディアの報道に基づき集計したところ、金正恩氏は1月1日から今月14日までの間に、視察や首脳会談など計123件の公開活動を行った。 その内訳を見ると、外交・経済関連が計95件で全体の77.2%を占めた。その一方、軍事関連の活動は昨年の41件から今年8件と、80.5%急減したとしている。 こうしたデータを見ると、非核化を巡る米朝対話 ...
【写真】北朝鮮の「清純派女優」はこうして金正恩に抹殺された
張成沢粛清を振り返る 「コンピュータに入力してはならない電子ファイル目録」と題された北朝鮮の内部文書を入手した。2015年5月の日付が入ったもので、韓国誌・月刊朝鮮11月号はこれを、北朝鮮の体制に不都合な映像・音楽作品を取り締まるタスクフォース「109常務(サンム)」が作成したものだと断定している。 内容は視聴が禁止された映像・音楽・ソフト類のリストで、列挙されたタイトルはざっと300以上にもなる。その多くは、体制に「有害」とみなされた俳優の出演しているものだ。 「喜び組」出 ...
金正恩氏「叔父を処刑」の背景に王朝内での「女たちの戦い」
張成沢粛清を振り返る(4) 韓国の情報機関・国家情報院次長や大統領補佐官を歴任した羅鍾一(ラ・ジョンイル)氏の『張成沢の道』は、2016年2月に韓国で出版された。対北朝鮮諜報のエキスパートらしく、北朝鮮の元高位幹部と思しき脱北者たちの重要証言がちりばめられている。一方、韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使の著書『3階書記室の暗号』は、2018年5月に出版された。こちらは1冊丸ごと、元北朝鮮エリートの証言録である。 2人は南北の外交官として、同じ時期に欧州で勤務し ...
【写真】北朝鮮の国民的美少女・洪英姫と「花を売る乙女」
2007年にカンヌ映画祭でも上映された北朝鮮映画『ある女学生の日記』は、大学入学を控え進路に悩む女子学生スリョンの姿を描いたものだ。 数学者である彼女の父親は、妻が癌を患っているにもかかわらず、研究所で仕事に没頭し家に戻らない。スリョンは、そんな父親に不信感を抱き、学校でもトラブルを抱える。 次ページの動画は、父親を侮辱した級友と「ケンカ」する場面。なんともすがすがしい勝負の仕方ではある。 そんなスリョンも、やがて父の研究に大きな価値があると知る。 そして、自身も同じく学究の ...
【動画】北朝鮮の女子高生「タイマン」場面…映画『ある女学生の日記』
2007年にカンヌ映画祭でも上映された北朝鮮映画『ある女学生の日記』は、大学入学を控え進路に悩む女子学生スリョンの姿を描いたものだ。 数学者である彼女の父親は、妻が癌を患っているにもかかわらず、研究所で仕事に没頭し家に戻らない。スリョンは、そんな父親に不信感を抱き、学校でもトラブルを抱える。 次ページの動画は、父親を侮辱した級友と「ケンカ」する場面。なんともすがすがしい勝負の仕方ではある。 そんなスリョンも、やがて父の研究に大きな価値があると知る。 そして、自身も同じく学究の ...
死者数千人の前例も…北朝鮮で列車事故が多発
今月8日、韓国の江陵(カンヌン)で高速鉄道KTXが脱線する事故が発生した。鉄道を運営する韓国鉄道公社(KORAIL)のオ・ヨンシク社長は11日、相次ぐ事故の責任を取って辞任を表明した。 オ社長は、李明博政権以降に進められてきた民営化が事故多発の根本原因にあるとしている。KORAILでは前身の鉄道庁時代を含めて、多数の死者を出す事故はこの20年起きていないが、2011年以降で脱線事故が8件、追突・衝突事故が4件起きている。 軍事境界線の北側の北朝鮮でも今年、複数の鉄道事故が起き ...
金正日の「喜び組」はこうして堕落させられた
張成沢粛清を振り返る(3) 5年前の12月12日、金正恩朝鮮労働党委員長によって処刑された彼の叔父・張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長は生前、何回かの「革命化」を経験したことで知られる。 革命化は、素行に問題ありとされた幹部らに施される再教育のことだ。数カ月から1年、あるいは数年もの間、農村や工場に労働者として派遣され、苦労を強いられる。北朝鮮における高級幹部と末端労働者の生活水準の格差は、日本のそれよりはるかに大きい。ぜいたくに慣れた幹部らは革命化で塗炭の苦しみを味わい ...
北朝鮮が119人を処刑…理由は「宗教活動をしたから」
ポンペオ米国務長官は11日、北朝鮮や中国、イラン、サウジアラビアなど10カ国を11月28日付で、信教の自由が侵害されている「特定懸念国」に指定したとの声明を発表した。北朝鮮が「特定懸念国」に指定されるのは17年連続となる。 米国は折に触れて、北朝鮮における宗教――とりわけキリスト教に対する迫害を非難してきた。 (参考記事:「北朝鮮のキリスト教徒が『冷凍拷問』で殺されている」脱北者が証言) 国務省は1998年に制定された「国際信教の自由法」に基づき、各国の信教の自由を毎年評価し ...
男たちは真夜中に一家を襲った…北朝鮮の「収容所送り」はこうして行われる
世界最悪の人権侵害国家と呼ばれる北朝鮮の中でも最たる暗部と言えるのが管理所、つまり政治犯収容所だ。収容者は8万人とも12万人とも(韓国の統一研究院の推測)とも言われるが、北朝鮮当局はその存在すら認めていない。 1990年代に起きた大粛清「フルンゼ軍事大学留学組事件」と「第6軍団軍事クーデター未遂事件」、そして「深化組事件」に際しては、一度に千人単位の人々が収容所に送られたという。 (参考記事:同窓会を襲った「血の粛清」…北朝鮮の「フルンゼ軍事大学留学組」事件) 通常、管理所へ ...
「不良幹部」の制裁が金正恩氏に与える大ショック
米財務省は10日、北朝鮮における深刻な人権侵害や言論統制に関与したとして、金正恩朝鮮労働党委員長の側近である崔龍海(チェ・リョンヘ)党副委員長兼組織指導部長とチョン・ギョンテク国家保衛相、朴光浩(パク・クァンホ)党副委員長兼宣伝扇動部長の3人を制裁対象に指定したと発表した。 党組織指導部長は北朝鮮の政務と人事を一手に掌握し、秘密警察トップである国家保衛相は政治犯収容所の運営などを担当、党宣伝扇動部長は国民の言論や思想を統制する。制裁指定されて当然と言える面々だ。 中でも崔龍海 ...
そのとき、夫を殺された叔母は金正恩に銃口を向けた
張成沢粛清を振り返る(2) 2013年12月12日、金正恩朝鮮労働党委員長によって処刑された張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長は、金正恩氏の叔母である金慶喜(キム・ギョンヒ)元党書記の夫、すなわち彼の叔父だった。 金正恩氏の父・金正日総書記には複数の弟妹がいたが、母を同じくするのは夭逝した弟を除けば金慶喜氏だけだった。肉親への情に加え、金王朝内部での権力闘争を勝ち抜くための必要性もあって、金正日氏は金慶喜氏をことのほか大事にしたとされる。 金慶喜氏は政治的にも重要なポジシ ...
秘密の「刺殺組織」結成の動きも…金正恩氏は訪韓して大丈夫か
北朝鮮の金正恩党委員長の初の訪韓が年内に実現するかどうか話題となるなか、韓国社会では賛否両論が巻き起こっている。一部からは「金正恩を刺殺する」という過激な声まで出ている。 金正恩氏は9月に平壌で行われた南北首脳会談で、訪韓の意思を表明した。しかし、タイムリミットは目前である。 北朝鮮にとっては大イベントのひとつである、金正日総書記の命日(12月17日)が控えている。少なくとも17日が過ぎるまで、金正恩氏は訪韓の意思を明らかにできないだろう。加えて人権問題や様々な国際環境に照ら ...
杭に縛り付けられ、火炎放射器で灰にされた2人…惨劇は11月に始まった
張成沢粛清を振り返る(1) 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は2013年12月、叔父である張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長を処刑した。その前後に起きた関係者の処刑・粛清も合わせ、一連の「張成沢粛清事件」は、金正恩氏の冷血さを見せつけた出来事だった。それと同時に、その後の核開発強行とその成功で見せた金正恩氏の圧倒的なリーダーシップは、この事件を踏み台にして発揮されたように見えなくもない。 張成沢氏の失脚が公式化されたのは同月8日の党政治局拡大会議でのことであり、死刑は4日後 ...