日本海沿岸では昨年から今年の初めにかけて、北朝鮮のイカ釣り漁船とみられる木造船と、北朝鮮漁民と見られる遺体の漂流、漂着が急増した。背景には、不足する外貨を稼ぎたい国家が「漁労戦闘」と呼ばれる無理な漁獲増大キャンペーンを繰り広げ、それに、一獲千金を目指す庶民が呼応している実態があると言われる。 米政府系のラジオ・フリー・アジアは最近、かつて北朝鮮でイカ漁に従事したことのある脱北男性のインタビューを掲載した。その要約を以下に紹介する。 「帰らぬ漁師、近所だけで数十人」 2004年 ...

先月22日に北朝鮮の黄海北道(ファンヘブクト)で起きた交通事故は、中国人観光客ら36人が死亡する大惨事となった。事故の原因については、当時降っていた大雨の影響が指摘されているが、その一方では間接的に経済制裁が影響したのではないかとの声も上がっている。 (参考記事:外国人も犠牲に…金正恩氏のベンツも怖い。北朝鮮「魔の道路」事情) 北朝鮮事情に精通した中国の消息筋は、中国の北朝鮮専門旅行会社の担当者の話として、事故の原因はドライバーの惰性運転と、運転ミスにあると伝えた。 自動車を ...

27日の南北首脳会談を前にしてデイリーNKは、北朝鮮の首都平壌に住む男性と電話インタビューを行った。 この男性は、金正恩党委員長と韓国の文在寅大統領が会談を行うことを知っていたが、「金正恩氏が板門店の韓国側に行く」ということは知らなかったようで、記者がそのことを伝えると驚きの声を上げた。 男性は「文大統領が北朝鮮に来ると聞いた」と述べ、平壌でそのような噂が立っていることを伝えた。また、中国の習近平国家主席、米国のトランプ大統領も平壌を訪問するとの噂が立っているとのことだ。 南 ...

北朝鮮は、20日の朝鮮労働党中央委員会第7期第3回総会で、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を中止し、咸鏡北道(ハムギョンブクト)吉州(キルチュ)郡豊渓里(プンゲリ)にある核実験場を廃棄すると決定、発表した。 米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、この決定について北朝鮮国内からは肯定的、否定的な相反する反応が出ていると報じた。 労働新聞と朝鮮中央テレビでこのニュースを知ったと語る平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は、住民たちは首を傾げているとして、否定的 ...

北朝鮮の秘密警察、国家保衛省の海外反探局(スパイ担当部署)の幹部が脱北していたことが明らかになった。報告を受けた金正恩党委員長は、殺害命令を下した。 北朝鮮事情に精通した現地情報筋がデイリーNKに語ったところによると、この人物は50代後半の康(カン)大佐。海外反探局の三頭馬車(ビッグ3)と呼ばれる大物で、中国瀋陽にあった北朝鮮系の七宝山(チルボサン)ホテル(現在は中富国際ホテル)に事務所を構え、中国、ロシア、東南アジアで活動する反探局の要員を指揮していた総責任者だ。 中国やロ ...

北朝鮮を訪れていた中国人観光客32人と北朝鮮人4人が、交通事故で死亡する大惨事が起きた。 中国中央テレビは23日、平壌駐在の中国大使館からの情報として、北朝鮮の黄海北道(ファンヘブクト)で起きた交通事故で、中国人観光客が死傷したと報じ、バスが横転している様子を放映した。 また、同大使館はウェブサイトを通じて、この事故で中国人32人と、ガイドと思われる北朝鮮人4人が死亡し、中国人2人が重態だと明らかにした。 北朝鮮では、一度に多くの犠牲者が出る事故が多発しているが、遂に外国人も ...

北朝鮮当局は、南北和解ムードに浮かれ気味の国民に対する引き締め策として、「非社会主義現象」、つまり当局が社会主義にそぐわないと考える行為に対する取り締まりキャンペーンを行っている。 その対象は、個人主義、外貨を含むカネに対する幻想、帝国主義者の思想、文化的浸透、覚せい剤の乱用など多岐に渡り、取締官のさじ加減ひとつで何でも取り締まることができてしまう。 (参考記事:一家全員、女子中学校までが…北朝鮮の薬物汚染「町内会の前にキメる主婦」) 加えて、違反者への厳罰をちらつかせて恐怖 ...

民主主義社会において、デモや抗議活動は選挙と並ぶ重要な政治的意思表現だ。しかし、国名で民主主義を謳いつつも民主主義とは程遠い北朝鮮で、声を上げることは命がけだ。当局のあまりものひどい仕打ちに抗議の声を上げた黄海製鉄所の労働者たちは、戦車で轢殺されてしまった。 (参考記事:抗議する労働者を戦車で轢殺…北朝鮮「黄海製鉄所の虐殺」) そんな状況でも北朝鮮の人々は事あるごとに声を上げている。両江道(リャンガンド)の内部情報筋は、現地で起きた抗議行動の顛末について伝えた。 発端は今年の ...

「握手してもらえるとは思いませんでした。本当に光栄でした」 今月1日と3日に北朝鮮・平壌で行われた芸術公演に参加し、金正恩党委員長と会った韓国のアイドル歌手がインタビューでこのように語り、一部で物議を醸した。現在、韓国と北朝鮮の間で対話が進行中であっても、金正恩氏が最悪の人権侵害の責任者である事実を忘れてはならない、ということだ。 「喜び組」女優も犠牲に 実際、本来なら韓国の芸能人との合同公演に参加し、あるいは歓迎宴で交流を深めてもおかしくなかった北朝鮮の芸能人たちが、10人 ...

ロシアの建設現場で働いていた北朝鮮労働者とタジキスタン労働者の集団が乱闘騒ぎを繰り広げ、多くの負傷者が発生したもようだ。 舞台となったのは、モスクワの南方約1500kmのところにあるクラスノダールのマンション建設現場。ロシアのVesti.ruによると、ここで先月29日、両国の労働者の間で集団乱闘が起きた。Vesti.ruが報じた動画には、石やシャベルのようなものを手に持ち、双方入り乱れて大暴れする様子が収められている。まるでヤクザ映画のような迫力である。 国家が国民を厳しく統 ...

中国のデイリーNK対北朝鮮情報筋は、延辺朝鮮族自治州の和龍に突如、北朝鮮女性400人が現れたと伝え、その様子を収めた動画を送ってきた。情報筋が今月1日に撮影した動画には、2〜30代に見える数多くの北朝鮮女性が列をなして和龍市内中心部の満客隆服装批発城の前の通りを移動する様子が収められている。 「(北朝鮮から)これだけ多くの人が来るのは久々のことだ。金正恩氏の訪中と関連があるようだ」(情報筋) (参考記事:【画像】金正恩氏の新たな商売「女子大生派遣ビジネス」の現場) どうやら中 ...

先日の中朝首脳会談開催に加え、4月と5月には南北、中朝首脳会談が予定されている中で、北朝鮮当局は対話の流れに逆らうかのように、国内の引き締めを行っている。その一つが「非社会主義現象」に対する「殲滅戦」だ。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋は、国家保衛省(秘密警察)が3月初めから新たな取り締まり組織を立ち上げ、全国に「非社会主義現象を根絶し、摘発時には厳罰に処す」といった内容の布告を貼り出した上で、大々的な取り締まりを行っている。 その対象は、宗教の伝道、脱北、密輸、違 ...

突然の訪中で世界をあっと言わせた、北朝鮮の金正恩党委員長。同氏はこれまでに度々、祖父の故・金日成主席や父の故・金正恩総書記の時代には考えられなかった行動を取り、北朝鮮ウォッチャーを驚かせてきた。 ちぎれた手足が散乱 2014年5月15日に発生した大規模マンション崩壊事故のときの同氏の行動も、その一例と言える。 金正日総書記は2009年、平壌10万戸建設事業を本格化させた。2012年に設定した強盛大国の完成の年に向け、老朽化した住宅を取り壊し、新しい住宅を10万戸建設、供給する ...

2014年5月15日、北朝鮮の首都・平壌で約500人が犠牲となるマンション崩壊事故があった。事故はなぜ発生し、そのとき何があったのか――。 金正日総書記は2009年、平壌10万戸建設事業を本格化させた。2012年に設定した強盛大国の完成の年に向け、老朽化した住宅を取り壊し、新しい住宅を10万戸建設、供給するという野心的な計画だ。これは、後継者である金正恩氏の実績作りという性格も非常に強かった。(参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図) しかし、計 ...

北朝鮮で「捨て子」が社会問題化しつつある。望まぬ妊娠により子どもを産んだ未婚の女性が、密かに子どもを捨ててしまうのだ。その根底には、社会や女性の生活のありようの変化に全く対応できていない北朝鮮当局の無能ぶりと、女性を苦しめる旧態依然とした社会的観念がある。 平安南道(ピョンアンナムド)の内部情報筋は、近所で見つかった捨て子について、次のように詳しく語った。 昨年末に某市内の百貨店前の交差点周辺で、明け方から赤ん坊の泣く声が響き渡った。マンションの住民が様子を見に行ったところ、 ...

北朝鮮は、朝鮮民主主義人民共和国が成立する以前の1946年7月に男女平等権についての法令を制定した。女性の選挙権、被選挙権、強制結婚の反対、離婚の自由の保障などを定めた、当時としては非常に先進的な法令だった。(【写真特集】李雪主――金正恩氏の美貌の妻) それから71年が経ったが、高尚な理想とは裏腹に、北朝鮮女性の地位は低いままだ。それどころか、男尊女卑の悪習が社会の隅々まではびこり、女性は様々な暴力にさらされ続けている。 そんな北朝鮮にあって、なぜか金正恩体制では女性の活躍が ...