かつて、全国の鉄道の8割を電化するほど電力に余裕があった北朝鮮。しかし、1980年代後半のソ連・東欧共産圏の崩壊で支援が減り、潤沢なエネルギー供給が得られなくなったことで電力が不足し始めた。さらに施設の老朽化に加え、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」で電力インフラが崩壊したことで、現在は慢性的な電力難の中にある。 「先軍政治」を掲げた金正日総書記は、電力インフラの整備に力を入れなかったため、数十年に渡って電力難が解消することはなかった。 一方で金正恩党委員長は8月、咸鏡北 ...

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、北朝鮮の金正恩党委員長は3年前、避妊と妊娠中絶を禁止し、これに背けば懲役3年の刑に処すとの命令を出した。避妊も中絶ももともと法で禁じられていたのだが、形骸化していた。しかし少子化が進んで軍の兵員充足までが難しくなるに及び、改めて厳命したのだ。 このようなムチャクチャな規則のせいで、北朝鮮社会には様々な弊害が生じている。RFAが今月5日に伝えたところでは、北朝鮮女性の多くは仕方なく、ヤミで出回る質の悪い子宮内避妊器具を使用して ...

海上自衛隊の旭日旗(自衛艦旗)掲揚を巡る日韓の摩擦に絡み、北朝鮮メディアが日本に対する非難を強めている。旭日旗を巡っては、韓国南部・済州島で11日に開かれる国際観艦式で、韓国側が海自の護衛艦に対し旭日旗を掲げないよう要求。日本はこれを拒否し、護衛艦の派遣を中止した。 これに対し朝鮮労働党機関紙の労働新聞は8日付の署名入り論評で、「日本が済州島で行われる『観艦式』に参加してもしなくても、朝鮮半島とアジア諸国をまたもや侵略し、踏みにじろうとする軍国主義狂信者らの凶悪な下心は決して ...

脱北した韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使は8日、韓国の野党・自由韓国党のキム・ジェギョン議員が主催した討論会で、北朝鮮当局は今後、国際社会から追及されている国内での人権蹂躙を巡り、金正恩党委員長の責任回避に全力を挙げるだろうとの見通しを示した。 「今後、北朝鮮の人権外交の方向性は、人権蹂躙の糾明が金正恩の名前と直接つなげられるのを防ぐ方向に傾くでしょう。(国連での)北朝鮮人権決議案の上程阻止から、金正恩の責任糾明阻止に移っていくのです」 国連総会は昨年末まで ...

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、韓国の脱北者団体・キョレオル統一連帯は近く、「北朝鮮先軍政治の不都合な真実―北朝鮮特殊部隊と女性兵士の人権実態調査報告書」を発表する予定だ。同団体には軍出身の脱北者760人が登録しており、その中から50人(男性20人、女性30人)を選び、調査を行ったという。 (参考記事:ひとりで女性兵士30人を暴行した北朝鮮軍の中隊長) 北朝鮮の軍隊内における人権侵害のひどさはつとに知られているが、特殊部隊における実態にフォーカスした資料は ...

朝鮮中央通信は9日、中国共産党の序列3位・栗戦書(りつ・せんしょ)政治局常務委員を団長とする中国党・政府代表団が前日、北朝鮮の建国70周年記念行事に参加するため現地入りした際、金正恩党委員長の妹・金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長らがこれを迎えたと伝えた。金与正氏が公の場に出てくるのは、久しぶりのことだ。 (関連記事:「金与正氏がいて本当に幸いだ…」金正恩氏の妹を韓国要人がベタ褒め) 金正恩氏は7月以降、精力的に経済部門の視察を行っているが、李雪主(リ・ソルチュ)夫 ...

北朝鮮の北部にある両江道(リャンガンド)。蓋馬(ケマ)高原に属し、平均海抜は1000メートルに達する。霜の降りない無霜期間が年間150日に満たず、年間降水量も600〜700ミリと少ない。 そのため、稲作の北限とされている中国の黒龍江省南部より500キロも南にあるのに、稲作はほとんどできない。その代わりに栽培されているのはジャガイモやトウモロコシだが、いずれもあまり現金収入につながらない作物だ。(参考記事:打ち捨てられた「将軍様の革命的ジャガイモ農法」) 現地の農民は様々に知恵 ...

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は17日、金正恩党委員長が李雪主(リ・ソルチュ)夫人とともに、江原道(カンウォンド)の観光リゾート「元山葛麻(ウォンサンカルマ)海岸観光地区」の建設現場を視察したと伝えた。 朝鮮中央通信が公開した写真の中には、事故につながりそうな要素を収めた「恐怖写真」がある。金正恩氏の背景に写っている建設中の建物の足場が、どうやら木材で組まれているのだ。これは、先立って公開された三池淵(サムジヨン)郡の建設現場の写真の方がわかりやすいだろう。 【写真】北朝鮮・三池淵 ...

2007年にカンヌ映画祭でも上映された北朝鮮映画『ある女学生の日記』は、大学入学を控え進路に悩む女子学生の姿を描いたものだ。 (参考記事:【写真】北朝鮮の女優パク・ミヒャン) 数学者である彼女の父親は、妻が癌を患っているにもかかわらず、研究所で仕事に没頭し家に戻らない。主人公は、そんな父親に不信感を抱くが、やがて彼の研究に大きな価値があると知り、自身も同じく学究の道を選ぶというストーリーだ。 そこに込められているのは、父母が子どもに残すべき最も大きな財産は名誉や金ではなく、将 ...

2013年12月に処刑された金正恩党委員長の叔父・張成沢氏に連座させられ、粛清された人々の数は1万人に上るという。その際には同氏につながる外交官たちも粛清された。その中に、前駐スウェーデン大使のパク・クァンチョルがいる。彼の息子の嫁は、2007年にカンヌ映画祭でも上映された北朝鮮映画『ある女学生の日記』に主演した女優パク・ミヒャンだ。 太永浩氏によれば、彼女は夫や幼い息子とともに、政治犯収容所に送られてしまったという。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋によると、北朝鮮当局は日照りによる被害の調査に乗り出した。 北朝鮮の夏は、暑くても最高気温が30度を少し超える程度で、東海岸北部は30度にもならないのが普通だ。だが、今年に限っては、各地で40度近い最高気温を記録する猛暑となっている。多くの地域で全く雨が降っておらず、農業に深刻な影響が出始めたのだ。 調査の様子を見守る農民も、調査を司る幹部も「今年の農業はもうダメだ」「これと言った対策はない、猛暑が一日も早く終わることを祈るしかない」と ...

デイリーNKの内部情報筋によれば、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の端川(タンチョン)水力発電所の建設現場で最近、軍の兵士らと道の外貨稼ぎ機関である金剛指導局傘下の突撃隊(建設部隊)の衝突が起き、物議を醸しているという。 ド迫力の動画 事件は、建設作業に必要な工具を準備せよとの命令を受けた兵士たちが、突撃隊の倉庫を襲撃、工具を強奪して行ったことがきっかけだった。倉庫係から報告を受けた突撃隊の中隊長は、屈強な隊員数人を引き連れて工具を取り戻しに行った。ところがツルハシやハンマーなど ...

教化所(刑務所)など北朝鮮の拘禁施設では、ありとあらゆる形の人権侵害が行われている。人権の概念すら希薄な北朝鮮社会では、囚人たちは何ら抵抗する術を持たず、当局のなすがままだ。 (参考記事:北朝鮮、拘禁施設の過酷な実態…「女性収監者は裸で調査」「性暴行」「強制堕胎」も) そんな中、北朝鮮の北部山間地域にある慈江道(チャガンド)の教化所で今月初め、受刑者2人が看守の人権侵害行為に抗議してハンストを行った。現地の内部情報筋によると、事件が起きたのは道内の城干(ソンガン)教化所だ。 ...

北朝鮮国営の朝鮮中央通信や朝鮮労働党機関紙の労働新聞は10日、金正恩党委員長が中国との国境地域にある両江道(リャンガンド)の三池淵(サムジヨン)郡の建設現場など各所を視察したことを大きく報じた。その際に公開された写真を見た建築専門家の間からは、重大な事故が発生する可能性が指摘されている。 (参考記事:金正恩氏の背後に「死亡事故を予感」させる恐怖写真) そして「やはり」と言うべきか、この現場近くで深刻な事故が発生していたことがわかった。両江道(リャンガンド)の内部情報筋によると ...

脱北女性の人権活動家、イ・エラン氏が主宰する韓国の市民団体が、北朝鮮当局が「非社会主義的現象」の取り締まりのために制作した記録映画を入手し、インターネットで公開している。【動画】北朝鮮「異色的な外人モデル」摘発映像 同団体の解説によれば、記録映画は5月20日頃、幹部向けに公開されたものだという。同団体が入手したコピー映像は、パソコンなどの端末で再生しながら画面を撮影したものらしく、やや不鮮明だ。しかし十分に被写体の判別は付き、音声も明瞭である。 さらされた女子高生 記録映画の ...

北朝鮮の学生たちにとって、夏休みは必ずしも楽しいばかりのものではない。学校や国家から、様々な課題を押し付けられたり、組織生活や思想の総括を強いられたりするからだ。 少女の「やわらかい皮膚」狙い いちばん憂鬱なのは、海外にいる留学生かもしれない。国に呼び戻されれば、外国の自由な空気から離れなければならないだけでなく、下手をすると一生を棒に振ることにもなりかねないからだ。 それほどでもないにせよ、まだ幼い中学生らも憂鬱な問題を抱えている。 北朝鮮で、青少年は春に30日、夏に30日 ...