北朝鮮軍兵士による襲撃事件が多発…地域住民ら警戒
国際社会による制裁、度重なる自然災害による凶作で、北朝鮮の食糧事情は予断を許さない状況が続いている。1990年代の大飢饉「苦難の行軍」のころに比べればマシなようだが、食糧を協同農場からの配給に頼っている朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士たちの状況はひどい有様だ。それでなくとも軍紀は地に落ちていたが、ここへ来て農民を襲撃する事件が続発している。 (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為) 両江道(リャンガンド)の内部情報筋によると、現地に駐屯する朝鮮人民軍の1 ...
人身売買団のワナにはまった「ある少女」を待ち構える運命
告発続く北朝鮮の人権侵害(3) トランプ米大統領は11月29日、北朝鮮を資金援助の禁止対象に再指定した。理由は、北朝鮮政府が人身売買の被害を防止するための最低限の措置を講じていないためだ。主として中国を舞台とした北朝鮮女性の人身売買については、米国内でも年々、問題視する傾向が強まっている。 これに対し北朝鮮は、朝鮮労働党機関紙・労働新聞が12月11日付の論評で「言いがかりだ」とするなど強く反発した。論評は「米国の今回の挑発行為は、朝鮮の尊厳あるイメージをどうしてでもダウンさせ ...
「弁護士は万年筆で私を暴行した」北朝鮮女性、性的被害の実態告発
告発続く北朝鮮の人権侵害(2) 国連総会が17日の本会議で採択した、北朝鮮の人権侵害に対する非難決議は、同国において拷問や非人道的な待遇、性的暴行、公開処刑などが横行している実態とともに、同国当局がそれらに対して必要な措置を講じていないことに向けられたものでもある。 性的暴行は、北朝鮮においてももちろん犯罪だ。北朝鮮政府は2017年7月、国連女性差別撤廃委員会に対する報告で、性的暴行罪での処罰者数を2008年9人、2011年7人、2015年5人、上下関係を利用しての性的暴行の ...
その男は結婚費用を作るため女性を中国に売った
北朝鮮の国境警備隊の幹部が、中国への人身売買を幇助した容疑で当局に逮捕された。咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋が伝えた。 (参考記事:「中国人の男は一列に並んだ私たちを選んだ」北朝鮮女性、人身売買被害の証言) 逮捕されたのは、北朝鮮北東部、咸鏡北道穏城(オンソン)の国境警備隊に所属する20代後半の小隊長だ。結婚を控えていた彼は、新婦の家族から新居を用意するように強く迫られていた。その費用を工面するために、不法越境、つまり脱北を幇助することにした。 (参考記事:中国で「 ...
金正日が死んだ日なんか関係ねぇ…北朝鮮の若者たちが大暴れ
北朝鮮の2代目の指導者、金正日総書記は2011年12月17日に死去した。その前後の1ヶ月間は哀悼期間に指定されている。 期間中には、雰囲気を乱す違法行為、歌舞音曲、集団での飲酒などが禁じられ、些細な事件でも政治犯扱いされ、重罰に処される。北朝鮮の人々はとばっちりを受けることを恐れ、この期間はおとなしくしてやり過ごそうとする。 そんな期間に、乱闘騒ぎを起こした若者たちが逮捕される事件が起きた。神聖不可侵の存在である最高指導者を悼み、静かに過ごすべき期間に、事もあろうに乱闘騒ぎを ...
「日本は高度に軍事大国化」…北朝鮮が「いずも」空母化で見せる不安
北朝鮮の内閣などの機関紙・民主朝鮮は18日、日本の防衛費が過去最大となったことを受けて、「海外侵略は日本の変わらぬ野望」であるとする論評を掲載した。また朝鮮労働党機関紙の労働新聞も19日付に同様の論評を載せた。 こうした反応はいつものことだが、今回は少し珍しい部分もある。 日本政府は新たな防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」と、2019年度から5年間の「中期防衛力整備計画」を閣議決定し、これにより今後5年間の防衛費は総額27兆4700億円となり、過去最大を更新した。 この閣議が ...
氷点下20度の野外でタダ働き、若者の命を奪う「ブラックな現場」
北朝鮮で進められている超大型国策事業、三池淵(サムジヨン)開発。建設労働者として投入されているのは、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の建設部隊や、突撃隊と呼ばれる、各地の工場、企業所、機関などから駆り出された人々からなるタダ働き素人集団だ。 北朝鮮の建設プロジェクトの労働環境は劣悪で、様々な工事現場で死者が続出している。 (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図) 金正恩党委員長は工事の進み具合がよほど気になるのか、今年に入って3回も現場の視察を行った上で ...
美人被疑者と「同伴外出」を繰り返した刑務所長の悪行
薬物犯罪に関連した容疑で逮捕された女性収容者と不適切な関係を結び、その見返りに便宜を図っていた北朝鮮の刑務所長が解任される事件が起きた。北朝鮮の拘禁施設ではこのように、権力者の女性収容者に対する性的暴行が横行している。 (参考記事:北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言「ひと月に5~6回も襲われた」) ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が10月31日に発表した報告書「理由もなく夜に涙が出る 北朝鮮での性暴力の実情」が最も多くのページを割いて伝えているのは、北朝鮮の拘禁施設にお ...
「下剤を飲ませ水を一滴も与えない拷問」で政敵抹殺…北朝鮮の権力闘争
張成沢粛清を振り返る(7) 7年前の12月17日に死亡した北朝鮮の金正日総書記の葬儀では、現在の金正恩朝鮮労働党委員長のほか、7人の党・軍幹部が霊柩車を護衛した。 その中の1人、金正恩氏の叔父でもある張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長はこの2年後に処刑されるわけだが、粛清により姿を消したのは彼ひとりではない。ともに霊柩車を護衛した李英鎬(リ・ヨンホ)朝鮮人民軍総参謀長(当時)と禹東則(ウ・ドンチュク)国家安全保衛部第1副部長(同)の2人は、張成沢氏との権力闘争に敗れ葬り去 ...
北朝鮮「幹部が遊びながら殺した女性を焼いた」事件の衝撃
張成沢粛清を振り返る(6) 韓国の情報機関・国家情報院次長や大統領補佐官を歴任した羅鍾一(ラ・ジョンイル)氏の著書によれば、2013年12月に処刑された金正恩朝鮮労働党委員長の叔父・張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長は才気と魅力にあふれ、多くの人々を惹き付けたという。 現在、「北朝鮮のナンバー2」などと形容されることの多い崔龍海(チェ・リョンヘ)党副委員長などは猟奇的な行状で知られ、人望も薄いと言われる。 (参考記事:美貌の女性の歯を抜いて…崔龍海の極悪性スキャンダル) ...
「世界は日本を警戒すべき」…北朝鮮が「いずも」空母化に猛反発する理由
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は14日、日本政府が海上自衛隊の「いずも」型護衛艦を実質的な空母として運用しようとしていることを受けて、「日本はアジア太平洋地域と世界の平和を害する悪性腫瘍」であると非難する論評を掲載した。 また国営の朝鮮中央通信も12日付の論評で、「日本は中国に対抗するために空母を保有しようとすると公言しているが、それは武力増強、海外膨張に対する日本の野心を示す」ものだとして、「世界は、日本の軽挙妄動に警戒心を高めなければならない」と主張した。 最近の北朝 ...
北朝鮮で拘束・死亡の米大学生「歯が不自然にズレた」謎は明かされるか
米財務省は10日、北朝鮮における深刻な人権侵害や言論統制に関与したとして、金正恩朝鮮労働党委員長の側近である崔龍海(チェ・リョンヘ)党副委員長ら3人を制裁対象に指定。同省は声明で、「北朝鮮による米国民のオットー・ワームビア氏に対する非道な扱いを改めて想起させる役割を果たすものでもある」と言及した。 米バージニア大学生だったワームビアさん(当時22歳)は、北朝鮮を旅行中に同国当局に拘束され、昨年6月に昏睡(こんすい)状態で解放されて間もなくして死亡した。その死因を巡り、ワームビ ...
被害女性9人の連続レイピスト「いつも通りのやり方」で公開銃殺
北朝鮮では年末を迎え、各機関や職場で総和(総括)が行われている。これは、一年間の生活、仕事を振り返って自己批判するというものだが、同時に行われているのが、犯罪に対する取り締まりの強化だ。 このところ禁止が伝えられていた公開処刑が、最近になってまた復活したようだ。そんな中で、女性9人に性的暴行を行った男が公開の場で銃殺されたと、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋が伝えてきた。 (参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態…元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」) 先 ...
ドラマ「処女の射撃手」を見てはならない、たった一つの理由
前回の本欄記事でも言及したとおり、デイリーNKジャパンは最近、「コンピュータに入力してはならない電子ファイル目録」と題された北朝鮮の内部文書を入手した。2015年5月の日付が入ったもので、韓国誌・月刊朝鮮11月号はこれを、北朝鮮の体制に不都合な映像・音楽作品を取り締まるタスクフォース「109常務(サンム)」が作成したものだと断定している。 内容は視聴が禁止された映像・音楽・ソフト類のリストで、列挙されたタイトルはざっと300以上にもなる。その中には北朝鮮の国民的女優・洪英姫( ...
北朝鮮軍が「マフィア化」…民間人相手に投資詐欺も
兵力数では世界3位を誇る北朝鮮の朝鮮人民軍だが、その実態はポンコツそのものだ。 食糧配給における横流しがひどいため、末端の兵士は常に腹をすかせ、中には栄養失調に苦しむ者すらいる。幹部たちはそんな兵士の窮状も気にかけず、権限を悪用した汚職や性的虐待に明け暮れている。 (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為) 生きるために協同農場などを襲撃し食糧を強奪する兵士たちは、民間人から「馬賊」呼ばわりされてきたが、今後は「詐欺師」というさらに不名誉な呼ばれ方も加 ...
不正発覚で処刑も…北朝鮮、携帯電話の盗聴に巨額予算
北朝鮮の金正恩党委員長が最も忌み嫌っていることの一つが「情報の国外流出、国内流入」だ。 情報の流れを自分の都合のいいように制御し、自国民を「無知」な状態にしておきたいのだろう。 (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは… ) それがうまく行かなかった例としては、金正恩氏の実母・高ヨンヒ氏の偶像化がある。日本から「高ヨンヒが大阪生まれ」という北朝鮮にとっては誠に都合が悪い情報が北朝鮮国内に流入し、拡散したからだった。 (参考記事:金正恩と大阪を結ぶ奇しき血脈) ...
