国際社会の制裁に加え、相次ぐ自然災害に苦しめられている北朝鮮。国連世界食糧計画(WFP)の報告書によると、今年の小麦、ジャガイモ、トウモロコシ、コメなどの作物の収穫量は平均以下だった。朝鮮人民軍(北朝鮮軍)は、食糧を確保するために、各地の協同農場に部隊を展開している。 平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は、「道内の肅川(スクチョン)郡の協同農場には農民より兵隊の数の方が多い」状況だと伝えた。兵士たちは、農場の脱穀場や倉庫で監視に当たっており、稲刈りの現場に出 ...

国際社会の制裁により、主力輸出品の石炭、海産物などが禁輸品目となり、外貨が国内に流入しないことから不況となっている北朝鮮。市場で商売して稼ぐなけなしのカネで生計を立てていた庶民は、生活苦にあえいでいる。 そんな中、売春をしていた容疑で18歳の女子学生が逮捕される事件が起きた。当局者は、犯罪抑止に利用しようと見せしめにしているが、庶民の間からは同情の声が上がっている。 平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、先月初旬に平城(ピョンソン)で公開裁判が行われた ...

昨今の国際社会の制裁による経済難で北朝鮮の治安が悪化し、犯罪が増加していると伝えられる中、北東部の咸鏡北道(ハムギョンブクト)で、20代女性が殺害される事件が起きた。 現地の情報筋によると、事件が起きたのは9月下旬のこと。咸鏡北道の穏城(オンソン)の中心部から江岸里(カンアンリ)を結ぶ道路沿いの貯水池で、近隣住民が体が半分水に浸かった状態の女性の遺体を発見した。 女性は23歳で、穏城の中心地で教養員養成教育を終えて帰宅途中だった。保安署(警察署)は、現場で確保した証拠と、商店 ...

中朝国境に面した北朝鮮の両江道(リャンガンド)一帯では現在、国家保衛省(秘密警察)などが国内情報を外部に流出させる行為に対する大々的な摘発を行っているという。きっかけとなったのは先月中旬、金正恩党委員長が道内の三池淵(サムジヨン)郡を視察したことだ。 このとき、金正恩氏が直接参加する「1号行事」の情報が事前に外部に漏れたとして、現地で大騒ぎになっているのだ。 普通のトイレを使えない 米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が先月末、両江道(リャンガンド)の幹部消息筋の話とし ...

大飢饉「苦難の行軍」により国中が大混乱に陥っていた1990年代後半、金正日総書記は犯罪者を法的手続き抜きでその場で射殺するチームを派遣するという荒っぽい治安対策を行っていた。 (参考記事:強盗を裁判抜きで銃殺する金正日流の治安対策) そんな時代を彷彿とさせる事件が、北朝鮮北部の両江道(リャンガンド)で起きた。現地のデイリーNK内部情報筋によると、今年9月1月の深夜、道内の金亨稷(キムヒョンジク)郡を流れる鴨緑江から、激しい銃声が聞こえた。その詳細が最近になって明らかになった。 ...

1980年代以前の北朝鮮は、非常に犯罪の少ない国だったと言われている。勤め先でもらえる月給が少ない代わりに、衣食住すべてを国から配給してもらえ、現金がさほど必要なかったこともあり、犯罪を起こす要因が少なかったのだ。ところが、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」で一変した。 国の配給システムが崩壊したことで、今までもらえていた配給が途絶えたことで、生き抜くすべを持たない人々が次々に餓死していった。市場で商売ができる人はそれで生き延びることができたが、それすらできない人は犯罪に ...

北朝鮮の対韓国宣伝サイトである「ウリミンジョクキリ(わが民族同士)」は5日、韓国が日本との対立解消に向けて動き出したことを非難する論評を掲載した。これこそは、韓国の孤立を望む北朝鮮、そして金正恩党委員長のホンネと言える。論評はまず、次のように主張している。 安倍政権は高みの見物 「少し前、南朝鮮(韓国)当局は外交・安全保障関係者を日本に派遣し、『国務総理』を倭王(天皇)即位式に送り、『未来志向的な「韓」日関係構築』だの、『「韓」日関係の膠着を打開するための疎通と交流の推進』だ ...

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は昨年7月17日、金正恩党委員長が咸鏡北道(ハムギョンブクト)の温堡(オンポ)休養所を現地指導したと伝えた。休養所とは、北朝鮮全土に100ヶ所ほど存在する労働者が利用する総合レジャー施設だが、その状態を見た金正恩氏は次のように指摘した。 最高指導者は、休養所の風呂場を見て回りながら、管理をよくしていないので温泉治療の浴槽が汚く、薄暗くて非衛生的だ、このような環境で治療になるのか、本当に汚いと指摘した。 金日成主席と金正日総書記の指導の業績が宿っている事 ...

今後の対米・対日関係の成り行きに、韓国が緊張している。 保守系全国紙の東亜日報、朝鮮日報、中央日報は揃って、日本経済新聞(2日付)が掲載したマーク・ナッパー米国務省副次官補(韓国・日本担当)のインタビューと、読売新聞(同)のジョセフ・ヤング駐日米国臨時代理大使のインタビューに言及した。 両氏のインタビューはともに、韓国政府が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了(破棄)を宣言したことについて、撤回を求める内容だ。GSOMIAは今月22日いっぱいで期限切れとなる。 ...

北朝鮮の金剛山(クムガンサン)観光地区。韓国現代グループの故鄭周永(チョン・ジュヨン)会長が、南北交流の一環として、故郷にほど近いこの地に莫大な資金を投資、建設した観光施設に、韓国内外の観光客を多数送り込むというもので、金大中政権下の1998年11月18日に始まった。 当時、大飢饉「苦難の行軍」で青息吐息だった北朝鮮はここから得られる莫大な外貨で延命に成功した。そのことは、北朝鮮人なら誰でも知っているという。 ところが、2008年7月11日に観光で訪れた韓国人女性が、警備にあ ...

韓国のニュースサイト、リバティ・コリア・ポスト(LKP)は10月28日付で、北朝鮮国内では今年9月までに、「反国家犯罪」の捜査が9千件も行われていると伝えた。反国家犯罪の容疑者はほぼ間違いなく、何らかの形で粛清される。1件につき、数人が粛清の対象になることもある。 LKPは8月の時点で、平壌では秘密警察である国家保衛省と軍の保衛司令部が1200人余りの幹部クラスを拘束し、反国家行為の容疑で調査を行っていると伝えていた。また、拘束された容疑者の急増に伴い、隔離監房が不足し、西平 ...

◯モンゴルでエイズ被害 ◯南アフリカでエイズ蔓延 ◯イスラエルでエイズ蔓延 ◯昨年エイズによる世界的死亡者数は77万人 これらは北朝鮮国営の朝鮮中央通信が、今年に入ってから報じたエイズ関連の記事の見出しの一部だ。そのほとんどが「他国でエイズが蔓延している」というものだ。 一方で北朝鮮政府関係者と世界保健機関(WHO)の関係者は、昨年12月1日の「世界エイズデー」に、北朝鮮におけるHIV感染事例は一件もなかったと発表している。 (参考記事:北朝鮮、「我が国にエイズ患者はいない」 ...

原潜や空母を欲しがるのは、それらを持つことで周辺国に対して立場を強めたいという、民族派政治家たちの「危険な遊び」に見える。 (参考記事:韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は) 韓国では近年、原子力潜水艦を保有すべきとの主張が台頭している。北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発に力を入れており、これを搭載した潜水艦が実戦配備された場合、常時監視と即応体制の強化のため、長期間にわたり水中活動が可能な原潜が必要である、との理屈だ。 文在寅大統領も大 ...

やや旧聞に属する話となるが、今年の7月8日の夜、北朝鮮・平安南道(ピョンアンナムド)の某所で騒ぎがあったと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。そしてこの騒ぎの背景には、現代北朝鮮における、ある「悲しい話」があった。 7月8日と言えば、金正恩党委員長の祖父・金日成主席の命日である。そのため北朝鮮では、毎年6月末から7月上旬にかけて「哀悼期間」が設定され、金日成氏を偲ぶ様々な政治イベントが行われる。2011年12月17日に死亡した金正日総書記に対しても同様だ ...

北朝鮮メディアは10月16日付で、金正恩党委員長が中朝国境にまたがる朝鮮半島の最高峰・白頭山(ペクトゥサン)に登頂したことと、その麓にある三池淵(サムジヨン)郡の再開発現場を視察したことを報じた。登頂と視察の日時は明らかにされていないが、直前の数日間の出来事と見てまず間違いない。 北朝鮮メディアは通常、金正恩氏の地方視察などの動静について日時を明かすことはない。たまに例外もあるが、中朝国境や軍事境界線付近などに出向く際には、秘密保持の徹底に特に気を使っているようだ。 「妻のス ...

デビッド・スティルウェル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は26日、都内の在日米国大使館でメディアの取材に応じ、韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を宣言したことを巡り、文在寅政権に決定の撤回を求める考えを示した。 米「韓国に致命的な結果」 スティルウェル氏は同時に、「日韓双方に2国間の摩擦解消に向けて働きかける」と述べており、韓国だけを圧迫したわけではない。 しかし、GSOMIAは11月22日いっぱいで失効する。こうしたタイムリミットがあるだけに、韓国 ...