「ベビーシッターを根絶せよ」 一瞬、何のことだか理解できないかもしれないが、これは北朝鮮の金正恩総書記が下した指示だ。 「無償教育」を誇る北朝鮮では、託児所から大学に至るまで、すべてが無料で利用できる。しかし、それはあくまでも建前。実際は、教師への付け届け、教材費、学校補修費などありとあらゆる名目で金品を徴収される。名門幼稚園の入園を巡って、ワイロが飛び交う「お受験」ならぬ「汚受験」も繰り広げられている。 (参考記事:金正恩「女子大生クラブ」主要メンバー6人を公開処刑) その ...

北朝鮮の警察庁にあたる人民保安省(現社会安全省)参謀部傘下に、紀要連絡所なる部署がある。 人民保安省内のすべての主要書類、機密文書を一時的に保管したり、慈江道(チャガンド)江界(カンゲ)市の将子山(チャンジャサン)革命史跡地の近くにある、最高指導者に関する記録の一切を保管するアーカイブに異動させたりしている。 (参考記事:北朝鮮の山奥に存在する「最高指導者のアーカイブ」とは?) その紀要連絡所の所長、キム大佐は2019年冬、突如として黒いトラックに乗せられた。金正恩総書記の指 ...

北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは25日に放映した平壌市民のインタビューで、金正恩総書記が最近、痩せたように見えることについて「おやつれになった」とする内容を伝えた。 インタビューは「国民全員が心を痛めている」などとしている。 金正恩氏を巡っては、6月以降に北朝鮮メディアが公開した映像や写真から、それ以前と比べ痩せたとの分析が各方面から出ている。とは言っても相変わらずの巨躯であり、顔の血色もよい。果たして「やつれた」というほどのものかは微妙だし、全国民が心を痛めているかも怪しい。 ...

北朝鮮は、朝鮮戦争勃発の日の今月25日から来月27日までを反米共同闘争月間に定めている。この期間には多くの人が反米思想を植え付けるための博物館を訪れ、歴史教育を受けることになるが、その代表例が黄海南道(ファンヘナムド)の信川(シンチョン)にある、「信川階級教養館(信川博物館)」だ。 北朝鮮は、朝鮮戦争中の1950年10月から12月にかけて、米軍が当時の現地の人口の4分の1にあたる1万6234人の市民を虐殺したと主張しており、同博物館はそれに関する展示を行っている。 だが、信川 ...

中国との国境に接する北朝鮮の慈江道(チャガンド)は「先軍革命特区」に指定されている。金正恩総書記ら最高指導者の特閣(別荘)や、彼らの業績の記録を保存しているアーカイブがあるなど、政治的に重要な地域だからだ。 また軍需工場が多いことから、他の地域からの出入りが非常に厳しく制限されている。政治的に作られた「陸の孤島」でもあるわけだ。 それだけあって、他の地域では絶えて久しい国による食糧配給が曲がりなりにも続けられてきた。大飢饉「苦難の行軍」に襲われる前の、社会主義計画経済が維持さ ...

昨年9月に北朝鮮を襲った台風9号(メイサーク)で、甚大な被害が発生した国内最大の亜鉛の産地、咸鏡南道(ハムギョンナムド)端川(タンチョン)市の検徳(コムドク)鉱山。 被災地入りした朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士は復旧作業に当たったが、人手不足から世界で最も長い10年の兵役が延長されるとの噂が出回り、不安が広がっていた。ところが、今月に入って彼らの身分が急に変えられたという。 (参考記事:災害復旧の人員不足で北朝鮮軍の兵役延長、広がる不安感) デイリーNKの軍内部の情報筋によると ...

北朝鮮では、人口の約4分の1にあたる600万人以上がスマートフォンを含む携帯電話を所有しているとのデータがある。 スマホには様々なアプリがプリインストールされているが、同国内ではアプリの開発と販売も行われている。国民の「外貨タンス預金」から外貨をいかにして吸い上げるか苦心している北朝鮮当局も、新しいアプリの販売に乗り出したと、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 (参考記事:人気は「グラセフ」「FIFAオンライン」…北朝鮮の若者もゲーム中毒) 情報筋による ...

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、今年の4月と5月、北朝鮮国内で相次いで反体制ビラが見つかった。 まずは4月、黄海北道の沙里院(サリウォン)付近で大量のビラが地面に落ちているのが発見された。現地情報筋によると、治安当局は軍を動員してビラを回収する一方、住民に対して「ビラを発見したら即時、通報せよ」とする一方、「ビラを発見しながら、これを読んだり保管したりする者は反逆罪に問う」と脅迫しているという。 同道では5月に入ると、海岸地域に同じような内容の布告分が張り ...

金(ゴールド)の個人所有が厳しく禁じられている北朝鮮。密輸などもってのほかで、摘発されれば処刑を免れない。 昨年11月には両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)で、新型コロナウイルス対策として封鎖令(ロックダウン)が敷かれている中、党中央軍事委員会の李炳哲(リ・ビョンチョル)副委員長の指揮の下に調査が行われ、国境警備隊25旅団の4大隊3中隊の中隊長、政治指導員ら4人が金の密輸容疑で摘発、銃殺された。 (参考記事:北朝鮮の美女4人「金塊6億円密輸」犯を待つ無残な運命) 北朝鮮当 ...

北朝鮮の中学生が使う「社会主義道徳と法」という教科書。そこには韓国についてこんなくだりがある。 「今日の南朝鮮(韓国)は、米帝の植民地統治で軍事ファッショ独裁がはびこり、飢餓と貧困に襲われた生き地獄だ」 米軍の靴磨きをしながらその日暮らしをする少年の話、生活のために自分の眼球を売ろうとしている少女の話など、2010年代の韓国の現実とは全く異なるエピソードが満載だ。 当局は政治講演会で韓国批判を行うのだが、さすがにこのような荒唐無稽な話は使わない。韓国で起きた悲惨な事件が、あた ...

北朝鮮の金正恩総書記は5月5日、李雪主(リ・ソルチュ)夫人と共に、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の各大連合部隊所属の軍人とその家族による軍人家族芸術サークルの公演を鑑賞した。 言うなれば「全国部隊対抗歌合戦」のようなものだが、ただでさえ娯楽の少ない北朝鮮で、参加者たちは大盛りあがりしたに違いないだろう。 派手な公演の裏で、ギリギリと歯ぎしりをしている者がいた。この行事に参加できなかった、両江道(リャンガンド)駐屯の国境警備隊の政治部長だ。北朝鮮ではこうした催しも、各部隊に対する思想的 ...

北朝鮮では近年来、金正恩総書記の号令の下、「非社会主義・反社会主義現象」の一掃と称して風紀取り締まりキャンペーンが行われてきた。そこには密輸、麻薬の取り引き、占いなど様々な行為が含まれるが、その一つが「不倫」だ。 幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)の間では不倫が当たり前に行われていると言われる。外見やメンツが非常に重視される社会風潮が強いことから、カネも権力もある男性らは、若くて容姿に優れた女性との関係を誇示したがるという。つまり、愛人を囲うことがある種のステイタスというわけ ...

庶民が経済難で苦しむ中、北朝鮮当局が熱を上げているのは、露天商の取り締まりだ。 本来、商売をするには市場使用料を支払い、市場の売台(ワゴン)を借りることになっているが、それを払うだけの儲けがない商人や、支払いを嫌う商人は、市場周辺の路上で露店を開いている。取り締まり班が襲来すると、風呂敷に品物を包みあっという間に逃げ去る様子から「イナゴ商人」と呼ばれている。 この市場使用料、公式には税金が存在しないことになっている北朝鮮で、当局が得られる事実上の税金だ。一銭でも多く徴収するた ...

北朝鮮は新型コロナウイルスの国内流入を恐れるあまり、昨年1月末から国境を封鎖し、貿易を停止するという極端なコロナ対策だ。市場で売られている商品の9割が中国製と言われている北朝鮮で、このような対策が取られるといかなる結果をもたらすかは火を見るよりも明らかだった。 金正恩総書記15日の朝鮮労働党中央委員会第8期第3回総会で、「人民の食糧状況が緊張している」と認めた。金正恩氏はその原因として台風被害を挙げたが、実際にはより構造的な問題がある。 災害などで深刻となった食糧不足が、禁輸 ...

一時は北朝鮮ウォッチャーの間で「金正恩総書記が最も信頼する側近」のひとりと考えられていた、崔輝(チェ・フィ)前朝鮮労働党副委員長の姿が見えない。1月の第8回党大会で党政治局委員と党中央委副委員長を解任されて以降、動静がぷっつり途絶えているのだ。 崔氏の現況については、粛清説が囁かれる一方で、「高齢のため引退し、悠々自適に暮らしている」との情報もある。それでもやはり、粛清説を無視できない理由がある。金正恩氏の妹である金与正(キム・ヨジョン)党副部長との関係の「近さ」だ。 崔氏と ...

国内での新型コロナウイルスの感染者発生を未だに認めていない北朝鮮だが、各地でコロナと疑わしき症状で隔離される人が後を絶たない。 中国との国境を守る咸鏡北道(ハムギョンブクト)鏡城(キョンソン)郡に駐屯する国境警備隊でも最近、発熱患者の急増に伴い、中隊まるごと隔離され、壊滅状態に陥る事態が起きた。 当局は、中国からのコロナの流入を恐れ、国境警備を今までになく強化し、国境警備隊には密輸、脱北目的の人間のみならず、国境を越えてくる野生動物も射殺するよう命令を下している。国境警備に穴 ...