しつこく居座る梅雨前線による長雨で、各地で甚大な被害が発生した北朝鮮。被災地の一つ、黄海北道(ファンヘプクト)銀波(ウンパ)郡には、全国から大量の人員が投入され、復旧作業が進められている。 現在、住宅の再建事業が行われているが、地方政府の予算不足で民間の投資を頼らざるを得ない状況となっている。しかし、問題はそれだけではない。工事に動員された朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士が、家や財産を失った被災者をさらに苦しめているというのだ。 (参考記事:水害被害の北朝鮮、住宅再建も「個人投資 ...

北朝鮮はかつて、犯罪の少ない国と言われていた。一部の特権層を除き、皆が平等に貧しいものの、完備された配給システムで食糧や生活必需品を得られるという社会体制のおかげだと言われている。 ところが、配給システムが崩壊、食糧難が頂点に達した1990年代後半には犯罪が多発した。平壌郊外の新興住宅地では、殺人、自殺、餓死かは不明だが、毎日のように遺体が発見され、中にはバラバラにされたものもあったという。 (参考記事:毎日のように死体が遺棄される平壌の統一通り、バラバラ遺体も) 食糧難が深 ...

北朝鮮は今年7月24日、「悪性ウイルスに感染されたと疑われる越南逃走者(元脱北者)が3年ぶりに不法に分界線を越えて去る7月19日、帰郷する非常事件が発生した」として、開城市を完全封鎖する措置を取った。 (参考記事:「開城市で悪性ウイルス感染者」新型コロナ、北朝鮮で初) 新型コロナウイルス対策として国境を封鎖、警備を強化していた最中の事件を受け、警備がさらに強化されたが、密入国する人が後を絶たない。元脱北者の再入国を受け、一部地域が完全封鎖された北部の両江道(リャンガンド)では ...

北朝鮮で毎年8月28日は青年節だ。これは、金日成主席が1927年8月28日に朝鮮共産主義青年同盟を結成したことを記念して、制定されたものだ。 国営の朝鮮中央通信は、首都・平壌の4.25文化会館前の広場で先月28日、青年節祝賀屋外公演「青年よ 党につきしたがおう」が開催されたと報じた。(以下、記事本文より一部抜粋) 特色のある照明効果で恍惚(こうこつ)の境地をなした舞台にスポーツリズムと歌謡「青春と勇猛」と軽快なハーモニカ4重奏、青春歌謡メドレーも演じられた。 屋外公演が終わる ...

脱北し韓国で暮らしていた男性が、密かに北朝鮮に戻っていた事件から1ヶ月以上が過ぎた。北朝鮮政府は、男性が新型コロナウイルスに感染している疑いがあるとして、開城(ケソン)市を一時完全封鎖、全国的に防疫体制を強化するなど、過剰とも言える対応を行った。 しかし、その後も密再入国事件は後を絶たない。国境を流れる豆満江を渡り、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の穏城(オンソン)から密入国し、清津(チョンジン)の自宅に戻っていた男性が摘発される事件が起きたが、国境警備隊の幹部が勤務怠慢の責任を ...

北朝鮮当局が先月25日の「先軍節」60周年に際し、軍高官らを対象に、金正恩党委員長の母・高容姫(コ・ヨンヒ)氏と、李雪主(リ・ソルチュ)夫人の活動を収めた記録映画を上映したと、韓国デイリーNKの内部情報筋が伝えている。先軍節は、金正恩氏の父・金正日総書記が行った先軍政治を記念する国家の祝日だ。 この映画が事実なら、北朝鮮で高氏と李氏の活動が1本にまとめられた映画が上映されたのは初めてと見られる。 気になるのは、この映画に込められた金正恩氏のねらいだ。金正恩時代の大きな特徴のひ ...

北朝鮮における女性に対する性暴力については、公式の統計が存在しないため、どれほど起きているのかは不明だ。 国際的人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が2018年に発表した報告書「理由もなく夜に涙が出る 北朝鮮での性暴力の実情」に記されたものなど、実際の被害者や目撃者の証言が数多く存在し、それらを見れば事の一端を窺い知るに足る。 (参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」暴露された金正恩時代の性暴力) そんな北朝鮮で、また一人の女性が性暴力の餌食になってしまった。 咸鏡北 ...

パターナリズム――様々な訳語があるが、簡単に言い換えると立場が上の者が下の者に向かって、「俺はお前のためを思って言っている」などと言って干渉することだ。様々な文化圏で見られるが、国を「親」、国民を「子ども」とする国家観との相性が抜群に良い。 それが、露骨な形で現れているのが、最高指導者を「父」と崇める今の北朝鮮だ。何が正しく、またそうでないかを勝手に決めて、国民に従うことを強要している。その中身は非常に馬鹿げたものが多く、政府が最近、地方政府に対して下した指示にこんなものがあ ...

日本の行方不明者発見活動に関する規則は、第2条で行方不明者の定義をこのように定めている。 「生活の本拠を離れ、その行方が明らかでない者」 一方の北朝鮮では、民法22条で「最後の便りがあってから3年過ぎても便りのない公民」と定めているが、この条文から見えてこない行方不明者の扱いがある。 1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」のとき、多くの人が食べ物を求めて家を出て行方不明になってしまったが、その中には国境を川を渡り脱北した人もいた。2016年に台風10号(ライオンロック)で被災 ...

北朝鮮当局が、滞っていた平壌市民への配給を解決するため、軍の備蓄食糧を一部放出したことがわかった。 平壌在住の情報筋は25日、韓国デイリーNKに対し「最近、滞っていた7月分までの配給が一度に行われた」と伝えた。しかし、8月分の配給がどうなるかについて、当局からは発表がないという。 1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」の時でさえ行われていた平壌市民に対する食糧配給は、このところ数カ月にわたり止まっていた。平壌のデイリーNK内部情報筋は6月、今年に入って配給が行われたのは3月ま ...

残念ながら、女性に対する性犯罪は世界中どこの国でも起き続けている。だが、その様相は国ごとに異なる。 例えば、韓国ではソ・ジヒョン検事の告白をきっかけに 性暴力を告発する #MeToo の流れが生まれ、演劇界の大物、ノーベル文学賞候補と目された作家、複数のリベラル政治家らが社会的に糾弾される事態となった。かつて、性暴力は女性の「落ち度」によるものとする風潮が根強く、被害女性が苦しめられてきたという歴史が背景にあるが、日本も決して例外ではない。 北朝鮮から脱北して韓国にやって来た ...

北朝鮮では、人口の約4分の1にあたる600万人以上がスマートフォンを含む携帯電話を所有しているというデータがある。 スマホには様々なゲームソフトがインストールされているが、その中の一つが「宝石娯楽」。テトリスから始まり、コラムス、ぷよぷよなど、現在に至るまで世界中で不動の人気の誇るジャンル、「落ちゲー」(落ち物ゲーム)の一種だ。 (参考記事:人気は「グラセフ」「FIFAオンライン」…北朝鮮の若者もゲーム中毒) この「宝石娯楽」の開発者が逮捕されたと、平壌のデイリーNK内部情報 ...

日本の植民地統治下にあった朝鮮の京城放送局(JODK)で1942年12月、朝鮮人職員6人が逮捕された。容疑は、内地からの放送を聞くための短波受信機を使って、米国のボイス・オブ・アメリカ(VOA)や大韓民国臨時政府の放送を聞いていたというものだ。その後の逮捕者は京城放送局だけで40人、地方の放送局を含めると150人、放送を聞いていた民間人を含めると300人以上に達した。 京畿道警察部高等警察課の斎賀七郎が主導して行われた捜査と取り調べでは、多くの人が激しく拷問され、獄死したり、 ...

北朝鮮にも暴力団組織のようなものが存在する。家や親を失い路上で暮らすコチェビ(ストリート・チルドレン)の集団や、国からの支援を失い様々な仕事で食いつなぐ栄誉軍人(傷痍軍人)の集団などがそれにあたり、利権を巡って血で血を洗う抗争を繰り広げることもある。 (参考記事:法は無視しろ、頼るべきは暴力だけ」北朝鮮でヤクザと半グレが増殖中) 利権のために暴力を使う集団と言えば、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)もある種の暴力団と言えるかもしれない。軍糧米の徴収に関するトラブルが乱闘に発展することもあ ...

北朝鮮で1993年に制作された映画「都会の娘、嫁に来る」。都会のアパレル工場で成功したヒロインが、支援に行った先の農村で出会った男性と結婚するというストーリーだ。映画としての出来がよくても、この設定を真に受けて農村に行こうとする女性がいたとすれば、家族、友人が総出で止めにかかるだろう。 北朝鮮の地域間の格差は壮絶だ。首都・平壌の生活レベルは中進国くらいと言われているが、山奥には電気や水道すらない地域もある。現金収入を得られる数少ない場である市場が遠い場合が多く、貧困から抜け出 ...

脱北者で、韓国紙・東亜日報の記者であるチュ・ソンハ氏は自身のブログで、最近の北朝鮮では従来のような公開処刑ではなく、非公開で秘密裏に処刑が行われるケースが増えていると指摘している。 理由は、公開処刑を見た人々に体制に対する反抗心が芽生えるのを避け、また国際社会から人権問題で非難されるのを避けるためだという。 韓国のデイリーNKも北朝鮮の内部情報筋から、そうしたケースについての情報を得ている。平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋によれば、今年3月、軍に対する物資供給の担当者が、 ...