コロナ禍初期の昨年3月に、北朝鮮の金正恩総書記が参加して執り行われた平壌総合病院の着工式。昨年10月10日の朝鮮労働党創立75周年の前に完成させ、記念日を華やかに飾るというのが当初の計画だったが、大規模な病院なのに工期がわずか半年という「無茶振り」だ。 そしてこれに、コロナ対策の国境封鎖と貿易停止が重なった。国営の朝鮮中央通信は、昨年9月12日の「平壌総合病院建設の外部仕上げ工事が進められる」という記事を配信したのを最後に、報道をピタリと止めているが、やはり工事が進んでいなか ...

かつて中国に存在していた「収容遣送」という制度。戸籍地として登録した地域を許可なく離脱して摘発されれば、元いた地域に送り返すというものだ。この法的根拠であった「都市浮浪者収容送還弁法」廃止のきっかけとなったのは、前途ある若者の死だ。 湖南省出身の服飾デザイナー孫志剛さんが2003年、就職のために引っ越した広東省広州市で、外出中に警察に逮捕され、収容所で3日後に死亡するという事件が発生。メディアの調査報道により世論が紛糾し、移動と居住の制限が緩和されるようになった。 そもそも中 ...

北朝鮮の社会安全省(警察庁)は昨年8月、国境地帯、緩衝地帯に無許可で近づく者には無条件で銃撃すると布告を下した。これは、新型コロナウイルスの国内流入防止に神経を尖らせている金正恩総書記の指示に基づくものだ。 脱北や密輸目的で国境に近づいた人はもちろんのこと、知らずに近づいてしまった人まで無慈悲に撃ち殺している。 (参考記事:北朝鮮兵は弾倉が空になるまで撃ち続けた…射殺された「ある恋人たち」の悲劇) そんな「コロナ・パラノイア」とも言うべき北朝鮮当局の対応によって、中国人までが ...

北朝鮮の兵役期間の短縮に伴うトラブルが止まらない。 世界で最も長いとされる男性9〜10年、女性6〜7年の兵役を1〜2年短縮する今回の措置。兵士たちは喜ぶと思いきや、人生を狂わされたとの怒りを噴出させているのだ。その恨みから、脱営(脱走)を選択する兵士が急増している模様だ。 というのも、庶民層出身の兵士にとって兵役期間を全うすることは、立身出世に必要な朝鮮労働党の党員資格を得る、ほとんど唯一のルートと言える。ところが、今まさに入党の手続きを踏んでいた兵士たちは突然の兵役短縮で入 ...

北朝鮮の金正恩総書記は「乗り物」好きとして知られる。メインの専用車両は大型のメルセデスベンツで、数種類が確認されている。 時には、自ら運転席にも座る。朝鮮中央テレビは昨年8月7日、金正恩氏が水害被災地を視察した際の写真を公開。それを見ると、金正恩氏が泥で汚れたレクサス「LX570」と見られる黒のSUVの運転席側にいる。 金正恩氏の父である金正日総書記も、自らベンツなどを運転していたことが知られている。若い時にはオートバイも運転していたようで、親子共に車の運転が好きなようだ。 ...

北朝鮮には「特閣」なるものがある。金正恩総書記やその一族だけが利用できる別荘だ。その数は北朝鮮全国で30カ所とも言われるが、最も重要視されるのは首領(最高指導者)の安寧とそれを戴く国家体制の維持であるお国柄で、近づくことも知ろうとすることも許されない。 そんな特閣を警備する人員は、家族との連絡も自由にできないなど、特別な管理下に置かれる。もちろん、思想の乱れなど一切許されない。それは逆に、彼らにとてつもなく高いプライドをもたらすことだろう。そして、それが汚された反動は非常に大 ...

朝鮮人民軍(北朝鮮軍)で、徴兵対象者の配属先をカネで売買するという大規模な不正行為が摘発された。しかし、北朝鮮ならではの理由により、首謀者への処罰が軽いもので済まされてしまった。 デイリーNK内部情報筋によると、今月初めに開催された人民軍党(朝鮮労働党朝鮮人民軍委員会)の総会で、第8回党大会後に行われた隊列整理事業(人事)に関する報告が行われた。 報告は、軍総参謀部の隊列補充局(人事担当部署)のパク副部長(上佐)の違法行為について指摘している。13の道、直轄市、特別市の軍事動 ...

今月6日から8日まで、北朝鮮の首都・平壌で開催された第6回朝鮮労働党細胞書記大会と、続く9日から11日まで行われた講習会。金正恩総書記の指導の下、党の最末端組織である「細胞」のトップである書記を、全国からかき集めて行われた今回の大会だが、参加が叶わなかった人もいた。 (参考記事:金正恩氏「苦難の行軍を決心した」…党細胞書記大会が閉幕) 両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、細胞書記大会に参加するために、遠く離れた平壌に向かう参加者を乗せたバスが事故を起こしたと伝え ...

消防インフラが貧弱な北朝鮮では、火災が発生しても消防隊が出動することはほとんどなく、住民が自主的に消火活動を行うか、すべてが燃え尽きるまで為す術もなく見守るしかない。 昨年6月に両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)で起きたマンション火災では、住民は最初から消防車の出動に期待せず、焼損した場合に責任を問われかねない金日成主席、金正日総書記の肖像画を運び出したものの、家財道具までに手が回らず、結局すべてが灰になってしまった。 (参考記事:北朝鮮でマンション火災、消防出動せず住民 ...

北朝鮮当局は今月15日の太陽節(金日成主席の生誕記念日)を前に、「社会主義生活文化と生活様式を厳格に遵守すべし」との指示を下し、国民の風紀取り締まりを大々的に行ったと、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えている。 今回の取り締まりにあたって当局は、服装の乱れは単純な問題ではなく、思想精神状態を表す重要な問題だと指摘し、すべての国民は社会主義風俗と生活様式に合った服装と髪型にすべきだと強調した。 当局は、学生や女性同盟、青年同盟のメンバーで組織した「糾察隊 ...

青瓦台(韓国大統領府)は16日、文在寅大統領が5月下旬に訪米し、米国のバイデン大統領と首脳会談を行うと発表した。康珉碩(カン・ミンソク)報道官は「強固な韓米同盟の持続的発展などについて深く議論することになる」と強調したが、内心では気が気でないかもしれない。 日本政府が東京電力福島第1原発の処理済み汚染水を海洋放出する方針を決めたことに対し、韓国政府は猛反発。米国に理解を求めたが、訪韓したケリー特使に突き放されたのは周知のとおりだ。 また、読売新聞の2日付の報道によると、米国の ...

米農務省の経済研究所は今年1月と2月、相次いで北朝鮮の食糧事情に関する報告書を出した。 新型コロナウイルスの食糧安保に関する報告書では、北朝鮮の総人口2560万人中63.1%にあたる1620万人が、国連の定めた食糧摂取量を満たしていないと明らかにした。また、コメ生産に関する報告書では、北朝鮮の昨年のコメ収穫量が1994年の150万トンを下回る136万トンで、15万トンの食料輸入が必要だとしている。 (参考記事:「もうすぐ国際援助が来る」飢える国民に北朝鮮が宣伝戦) コロナ鎖国 ...

現在、北朝鮮では5カ所の政治犯収容所が運営されていると言われる。正式には「管理所」と呼ばれており、あらゆる人権侵害が横行する虐待収容所だ。 そのうちのひとつ、平安南道(ピョンアンナムド)北倉(プクチャン)にある18号管理所で、収監者の強制労働により採掘された石炭が国連安全保障理事会の制裁に違反して中国に輸出されていると、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。 労働現場では、事故や虐待で死者が続出しているという。 (参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所の ...

「髪の乱れは心の乱れ」 これはかつて、日本の学校が生徒の髪型、服装、持ち物を取り締まるのに使っていた根拠不明な理屈だ。今でも「ブラック校則」が議論の的になったりするが、髪の毛やスカートが長いからと、衆人環視の中でハサミで切り刻むという、今なら暴行罪で訴えられかねないような生徒指導がまかり通っていた1990年代以前と比べれば、多少はマシになったのではないだろうか。 そんな風紀取り締まりを、国単位で行なっているのが北朝鮮だ。 (参考記事:北朝鮮に「ブラジャー」がもたらした意識変化 ...

先月28日、中国との国境に接した北朝鮮の両江道(リャンガンド)金正淑(キムジョンスク)郡で、中国キャリアの携帯電話を使っていた女性が逮捕される事件が起きた。 当局が国内情報の海外流出、海外情報の国内流入をブロックすべく数年前から取り締まりを強化する中、単なる逮捕ならよくある話だ。ところが、この女性の正体が明らかになるにつれ、現地では大騒動となっていると、デイリーNKの内部情報筋が伝えた。 逮捕されたのはリ姓の50代女性。女性は、国境に沿って走る道路を歩きながら、中国キャリアの ...

北朝鮮の金正恩総書記は、経済制裁と新型コロナウイルス禍で国が疲弊する中でも、首都の住宅建設に力を入れている。「黎明通り」「未来科学者通り」などのタワマン街を造成してきた金正恩氏だが、最近は低層の高級ヴィラ風の住宅も計画している。 その一環として、28日には「平壌市1万世帯住宅建設」の着工式が行われ、金正恩氏はこの計画を通じ「国家の潜在力とわが人民の創造力は今一度大きく誇示される」と意義を強調した。 ところが、着工直後から事故が相次ぐ、波乱の幕開けとなっている。わずか10日ほど ...