米財務省は10日、北朝鮮における深刻な人権侵害や言論統制に関与したとして、金正恩朝鮮労働党委員長の側近である崔龍海(チェ・リョンヘ)党副委員長ら3人を制裁対象に指定。同省は声明で、「北朝鮮による米国民のオットー・ワームビア氏に対する非道な扱いを改めて想起させる役割を果たすものでもある」と言及した。 米バージニア大学生だったワームビアさん(当時22歳)は、北朝鮮を旅行中に同国当局に拘束され、昨年6月に昏睡(こんすい)状態で解放されて間もなくして死亡した。その死因を巡り、ワームビ ...

北朝鮮では年末を迎え、各機関や職場で総和(総括)が行われている。これは、一年間の生活、仕事を振り返って自己批判するというものだが、同時に行われているのが、犯罪に対する取り締まりの強化だ。 このところ禁止が伝えられていた公開処刑が、最近になってまた復活したようだ。そんな中で、女性9人に性的暴行を行った男が公開の場で銃殺されたと、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋が伝えてきた。 (参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態…元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」) 先 ...

前回の本欄記事でも言及したとおり、デイリーNKジャパンは最近、「コンピュータに入力してはならない電子ファイル目録」と題された北朝鮮の内部文書を入手した。2015年5月の日付が入ったもので、韓国誌・月刊朝鮮11月号はこれを、北朝鮮の体制に不都合な映像・音楽作品を取り締まるタスクフォース「109常務(サンム)」が作成したものだと断定している。 内容は視聴が禁止された映像・音楽・ソフト類のリストで、列挙されたタイトルはざっと300以上にもなる。その中には北朝鮮の国民的女優・洪英姫( ...

兵力数では世界3位を誇る北朝鮮の朝鮮人民軍だが、その実態はポンコツそのものだ。 食糧配給における横流しがひどいため、末端の兵士は常に腹をすかせ、中には栄養失調に苦しむ者すらいる。幹部たちはそんな兵士の窮状も気にかけず、権限を悪用した汚職や性的虐待に明け暮れている。 (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為) 生きるために協同農場などを襲撃し食糧を強奪する兵士たちは、民間人から「馬賊」呼ばわりされてきたが、今後は「詐欺師」というさらに不名誉な呼ばれ方も加 ...

北朝鮮の金正恩党委員長が最も忌み嫌っていることの一つが「情報の国外流出、国内流入」だ。 情報の流れを自分の都合のいいように制御し、自国民を「無知」な状態にしておきたいのだろう。 (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは… ) それがうまく行かなかった例としては、金正恩氏の実母・高ヨンヒ氏の偶像化がある。日本から「高ヨンヒが大阪生まれ」という北朝鮮にとっては誠に都合が悪い情報が北朝鮮国内に流入し、拡散したからだった。 (参考記事:金正恩と大阪を結ぶ奇しき血脈) ...

韓国紙・中央日報(WEB日本語版)は22日、北朝鮮の内部事情に精通した韓国政府当局者の話として、故金正日総書記の第4夫人説がささやかれていた金オク氏について管理所(政治犯収容所)に収監されていることが確認されたと伝えた。 「写真」は語る この当局者は、「さまざまな情報を総合した結果、金オク氏が張成沢(チャン・ソンテク)事件に関わって2014年に政治犯収容所に送られたと結論付けた」としている。また、彼女の生死については「現在、生きていることを把握している」と述べているが、管理所 ...

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は26日、北朝鮮の人権問題に対する米国の非難は「とんでもない茶番劇」であるとする論評を掲載した。朝鮮中央通信が伝えた。 論評は、国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が先月末、北朝鮮で女性に対する性暴力がまん延していることを告発する報告書を発表したことに言及。「米議会と保守的なメディア、専門家も、制裁・圧迫と『人権問題』を対朝鮮政策として引き続き掲げるべきだと唱えている」と指摘した。 (参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」被害 ...

両江道(リャンガンド)の内部情報筋によると、恵山(ヘサン)駅そばにある恵興洞(ヘフンドン)の民泊で今月13日、家主夫婦と宿泊客3人が死亡した。近隣住民に発見されたのは、数日後のことだった。 亡くなった3人は、金正恩党委員長が進める三池淵(サムジヨン)の開発工事に突撃隊(建設部隊)として動員されていた。数ヶ月の任期を終え、故郷に戻る矢先のことだった。列車を待つために駅のそばの民泊に泊まり、悲劇に遭った。事情を知った近隣住民が気の毒がっている。 (参考記事:住民や労働者が次々に逃 ...

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は16日、「日本軍性奴隷問題の解決は国際的要求」と題した論評で次のように述べ、旧日本軍が朝鮮人慰安婦を虐殺した証拠とされる「映像記録編集物」があると主張した。 (参考記事:日本軍に虐殺された朝鮮人従軍慰安婦とされる映像について) 「最近だけでも、米国立文書保管所に所蔵されていた過去の日帝が朝鮮人性奴隷を野獣のように虐殺した天人共に激怒する蛮行を立証する映像記録編集物と共に、1944年9月13日に性奴隷として引き連れていた30人の朝鮮女性を銃殺したことに ...

北朝鮮の最高学府・金日成総合大学を卒業した脱北者で、韓国紙・東亜日報の名物記者であるチュ・ソンハ氏の近著『平壌資本主義百科全書』では、北朝鮮の人々の知られざる生活実態が生々しく紹介されている。 同書を通じて改めて確認されたことのひとつが、北朝鮮の富裕層が今なお「メイド・イン・ジャパン」を愛しているということだ。平壌に住むある御曹司はチュ氏のインタビューに、次のように答えている。 「(周りから)良い暮らしをしていると思われたければ、弾ける人がいなくてもピアノ1台は家になきゃダメ ...

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は10月30日、金正恩党委員長が中国との国境に近い三池淵(サムジヨン)郡を視察したと伝えた。金正恩氏が同郡を視察するのは、今年3回目だ。 三池淵郡は北朝鮮で「革命の聖地」として知られるとともに、風光明媚な景勝地でもある。金正恩氏は東海岸の「元山葛朝(ウォンサンカルマ)海岸観光地区」と並び、同郡の観光開発プロジェクトを最重視していると見られる。 しかし、三池淵郡の建設現場の安全対策は劣悪で、実際に事故も発生。北朝鮮が公開した写真の中にも「恐怖写真」レベル ...

北朝鮮の最高学府・金日成総合大学を卒業した脱北者で、韓国紙・東亜日報の名物記者であるチュ・ソンハ氏の近著『平壌資本主義百科全書』では、北朝鮮の人々の知られざる生活実態が生々しく紹介されている。 同書を通じて改めて確認されたことのひとつが、北朝鮮の富裕層が今なお「メイド・イン・ジャパン」を愛しているということだ。平壌に住むある御曹司はチュ氏のインタビューに、次のように答えている。 「(周りから)良い暮らしをしていると思われたければ、弾ける人がいなくてもピアノ1台は家になきゃダメ ...

今月7日、韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相は1980年に韓国の光州市で発生した光州民主化運動(光州事件)当時、デモ隊を弾圧した戒厳軍の兵士などが市民に性的暴行を働いた事実が確認されたことを受け、会見を開いて謝罪文を発表した。 しかし、当時の実態を知る関係者の間からは「今まで政府が黙殺してきたことが、今ごろになって明らかになったに過ぎない」との反応が出ていると、光州の地方紙・全南日報が伝えている。 「山の中で縛り上げられ」 同紙によれば、光州民主化運動における性暴力は、 ...

9月20日に韓国で出版された『平壌資本主義百科全書』が好評を博しているようだ。著者は東亜日報のチュ・ソンハ記者。チュ氏は北朝鮮の最高学府・金日成総合大学を卒業した脱北者で、北朝鮮社会の内部をえぐる取材では他の追随を許さない活躍を見せてきた。 新著の内容は、これまでにも増して衝撃的だ。筆者も読み始めたばかりなのだが、のっけから引き込まれた。冒頭で紹介されているのは北朝鮮人口の「0.001パーセントレベルの御曹司」のインタビューだ。 北朝鮮で貧富の格差が拡大しているのは周知の事実 ...

北朝鮮の朝鮮人権協会は4日、国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が北朝鮮における女性への性暴力実態に関する報告書を発表したことに対し、「政治的謀略策動の一環」であると非難するスポークスマン談話を発表した。 HRWが先月31日に発表した報告書「理由もなく夜に涙が出る 北朝鮮での性暴力の実情」は、金正恩党委員長が政権を継承した2011年以降に脱北した54人と、脱北した北朝鮮の元公務員8人を対象にしたインタビューを元に作成されたものだ。 その中には、被害女性らの血 ...

※この記事には、性暴力の被害に関する具体的な記述が含まれています。 ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が先月31日に発表した報告書「理由もなく夜に涙が出る 北朝鮮での性暴力の実情」。報告書で最も多くのページを割いて伝えているのは、北朝鮮の拘禁施設における女性に対する性暴力だ。 両江道(リャンガンド)で密輸に携わっていた30代女性のユン・スリョンさん。2011年末、他の女性と共に薬草を中国に密輸しようとして逮捕された。 2人は運良く逃亡に成功し、7ヶ月の間身を隠していたが、 ...