北朝鮮労働者を2019年末までに帰国させることを義務付けた国連安全保障理事会の制裁決議を遵守し、ルーマニア、アラブ首長国連邦(UAE)、ナミビアなど国連加盟国は、自国内にいた北朝鮮労働者を次々に送り返している。 アイドル並みの美貌で観光客から好評を得てきた北朝鮮レストランのウェイトレスたちをはじめ、8万人もの北朝鮮労働者を受け入れていた中国も、北朝鮮労働者の送還を進めている。 (参考記事:美貌の北朝鮮ウェイトレス、ネットで人気爆発) 北朝鮮事情に明るいデイリーNKの中国情報筋 ...

北朝鮮では、公務員のいびつな給与体系が原因となり、拝金主義がはびこっている。職場からもらえる給料だけでは生きていけないため、許認可を握っている人々は、ありとあらゆるネタでワイロをかき集めているのだ。 中でも酷いと言われるのが、保安員(警察官)である。保安員は取り締まりの権限を振りかざし、庶民からワイロを搾り取ることを生業としている。要求に応じなければ様々な言いがかりをつけて逮捕し、刑務所送りにすることもある。また、同様のやり方で女性に性行為を強要することもあり、悪徳保安員に対 ...

韓国・ソウルの外信記者クラブで3日、康京和(カン・ギョンファ)外相の記者懇談会があった。参加した記者によると、「韓国政府は北朝鮮の人権問題はどうするのか」との質問を受けた康京和氏は、次のように答えた。 「北朝鮮の人権問題を巡る国際社会の努力については、わが政府も支持し、関与している。(しかし)政府が非核化や平和体制の(対話の)テーブルにこの事案を上げるのは適切でない。平和体制を築く過程で北朝鮮との関与が深まり、国際社会との交流や開放が拡大しながら、北朝鮮の住民の人権も好転し、 ...

韓国・ソウルの外信記者クラブで3日、康京和(カン・ギョンファ)外相の記者懇談会があった。終了後、康京和氏は会場を離れる際に、中国で逮捕された脱北者7人の救出を訴えている市民団体と遭遇した。懇談会での質問に対し、韓国政府にとって北朝鮮の人権問題は最優先ではないと明かした直後だった。 写真で康京和氏と向き合っているのは、「韓半島の人権と統一のための弁護士の会」に所属する弁護士だ。彼女が掲げた手書きのプラカードには「9歳の娘まで銃殺されないよう助けてください!」と書かれている。

経済制裁下の北朝鮮で、困窮した労働者が工場の設備や資材を盗んで売り払い、社会問題になっている。 朝鮮労働党平安南道委員会の会議室で幹部を対象にして行われた講演会で、道の保安局長(県警本部長に相当)が价川、徳川(トクチョン)、北倉(プクチャン)などの工場で窃盗が増加しているとして注意喚起を行った。窃盗の被害に遭っているのは、溶接棒などの設備や、銅線、動線、鉄筋、アルミ、電気ケーブル、珪素鋼板、セメント、木材など資材だ。 1990年代の大飢饉「苦難の行軍」の時代には、こうした事件 ...

朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の訓練所で4月、大規模な食中毒が起きていたことが最近になってわかった。 ただの食中毒と甘く見てはいけない。弱体化が著しい北朝鮮軍だけに、兵士らは容易に回復しないかもしれない。 (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い) デイリーNK内部情報筋によると、平安南道(ピョンアンナムド)から招募、つまり徴兵された若者が150人が、招募所(新兵訓練所)で出された食事を食べたところ、嘔吐と下痢を繰り返し、市内の病院に搬送された。病院はいずれも食中毒 ...

国際社会の制裁が北朝鮮の経済をじわじわと苦しめつつある。各地の国営工場がその窮状を訴えているが、政府は一切手を差し伸べようとしていない。 平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、道内の国営工場から助けを求める声が上がっている。平城(ピョンソン)機械工場、平城木材工場をはじめとして、文徳(ムンドク)、粛川(スクチョン)、价川(ケチョン)、平原(ピョンウォン)の鉄製日用品工場、絹織工場などが最近、の地方工業管理局に資金支援を要請した。 これらの地域は、豊富に ...

韓国の主要メディアは29日、同国外務省やNGOの北韓正義連帯などの情報に基づき、9歳の女児を含む脱北者7人が中国の公安当局に逮捕され、北朝鮮に強制送還される危機に直面していると伝えた。外務省は中国当局に対し、北朝鮮に送還しないよう要請しているが、予断を許さない状況だ。 (関連記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…) 強制送還された脱北者に対しては、拷問を含む過酷な処罰が下されるのが普通だ。2017年7月には父母と息子1人、娘2人の5人家族が脱北後に中国当局に摘 ...

普通の国では、国民がお上から何らかの不利益を被った場合、裁判所、人権擁護機関などに訴え出て、救済を求める。しかし、北朝鮮ではそれらは存在しないか、まともに機能していない。北朝鮮国民が頼れるのはコネ、カネ、あるいは「信訴」だけだ。 「信訴」というのは、中国の「信訪」と同様に、理不尽な目に遭った国民が、そのことを政府機関に直訴するシステムで、一種の「目安箱」のようなものだ。元々は法制度の外で運用されていたものが、1998年に制定された信訴請願法で、法的根拠が与えられた。 密輸に加 ...

北朝鮮の金正恩党委員長と韓国の文在寅大統領が初の南北首脳会談を行い、「板門店(パンムンジョム)宣言」に署名してから27日で1年が過ぎた。両首脳は当時、「完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現し、民族全体が繁栄と幸福を享受する新しい時代を切り開く」と高らかに宣言した。 しかし、現在の実情はお寒い限りだ。韓国からの1周年記念行事を共同で行おうとの呼びかけに、北朝鮮は無回答を通した。それどころか、文在寅政権に対する北朝鮮の態度は冷たさと辛らつさを増してきている。 (参考記事:「 ...

米大学生のオットー・ワームビアさん(当時22)が北朝鮮で約1年半にわたり拘束され、昏睡状態で解放直後に死亡した問題が尾を引いている。米紙ワシントン・ポスト(電子版)は25日、関係者の話として、北朝鮮がワームビアさんの医療費として米政府に対し、200万ドル(2億2千万円)を請求していたと伝えた。 この一件についてワシントン・ポスト紙は「並外れた厚かましさ」だと北朝鮮を批判している。当然だろう。米ワシントンDCの連邦地方裁判所は昨年12月24日、北朝鮮に渡航後のワームビアさんの歯 ...

恐怖政治、再び(6) 北朝鮮の公開処刑は、その現場が衛星写真に捉えられたことがある。 2014年10月、平壌に近い姜健(カンゴン)総合軍官学校を撮影した民間衛星の写真を見ると、広場に何らかの物体10個が一列に並べられている。それに向かって6門のZPU-4対空機銃が並べられていて、その後ろには、射撃の様子を観察するためと見られる場所が設けられている。 (参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認) この画像を米政府系のラジオ・ ...

北朝鮮の金正恩党委員長は16日、朝鮮人民軍航空・対空軍第1017軍部隊戦闘飛行士の飛行訓練を指導した。これに続き17日には、国防科学院が実施した新型戦術誘導兵器の試射を視察した。 金正恩氏が軍事活動の視察を行うのは、実に久しぶりのことだ。2017年には弾道ミサイルの発射実験をしょっちゅう視察していた。あの頃に比べれば、北朝鮮はずいぶん静かになったものである。 このように感じているのは、北朝鮮の兵士たちも同様だろう。米軍の軍事圧力下で弾道ミサイルの発射実験を強行する際には、相当 ...

恐怖政治、再び(4) 北朝鮮の歴史は粛清と処刑の歴史だ。それは金王朝の始祖・金日成主席の時代に始まり、金正日総書記の時代にも、金正恩党委員長の時代にも続いている。 ただ、それぞれの時代ごとに少しずつ違った特徴がある。金日成氏の時代、その主な目的はソ連や中国を後ろ盾とした政敵の除去だった。 しかし金正日氏の時代、彼の政敵となり得る存在はもはや根絶やしにされていた。それでも、金正日氏はもっぱら自らの失政から国民の目を背けるため、軍に命じて公開処刑に拍車をかけた。また時には、自らの ...

恐怖政治、再び(1) 北朝鮮当局は、国際社会からの人権侵害批判を意識してか、しばらくは公開処刑を控える傾向にあった。ところが、今年2月以降に複数回の公開銃殺が執行されたと、デイリーNKの内部情報筋と米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。 北朝鮮は、どうしてここへ来て公開処刑を再開したのだろうか。気になるのは、経済制裁の影響である。 1990年代半ばからの大飢饉「苦難の行軍」の期間中に、公開処刑は激増したとの説もある。国民生活の困窮が秩序の乱れにつながり、それ ...

北朝鮮がついに最下位を脱した。 国際NGO「国境なき記者団」(RSF)が2002年から発表している「報道の自由度ランキング」で、北朝鮮は2017年、2018年の2年連続で、調査対象の180カ国・地域中最下位の180位を記録していたが、18日に発表された2019年版のランキングで179位を記録、最下位脱出に成功した。 しかし、評価が上がったわけではない。RSFは、北朝鮮の全体主義体制は国民を無知、つまり「由らしむべし知らしむべからず」の状態に置いているとし、携帯電話が急速に普及 ...